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本音【坂田銀時】1 ページ17

銀時side

「死にたくないっ!」


それがあいつの最初で最後の本音だった。

そう一言叫ぶと、静かに抱き寄せた俺の胸でそいつは泣きじゃくった。


昔から泣き虫なやつではあった。



「…銀時。」

銀 「まーた、泣いてたのかよ。泣き虫なやつだな。」

高杉もズラもまだいなかった頃で、俺の最初の友達はこいつだった。ただ、泣き虫で、でも気の強いこいつは俺にとってはめんどくさい標的でしかなかった。

あまり関わりたくなかったのも事実かもしれない。

塾の庭の木の裏で目に涙を溜めながらそいつは今日も座っていた。

俺が声をかけると同時にぽろっとこぼれてしまった涙も最初はテンパったものの、この時はもうすでに日常茶飯事にも思われるくらいの出来事であった。


銀 「……なにがあったんだよ…。」

そして。こいつの泣いている理由を聞くのもいつも俺だった。

「別に…。なんでもないもの。」

涙を流したくせに、口ではそう強がっていた。これもまたいつもとは変わらないのである。

人一倍泣き虫なクセして、その原因もなにも、自分の中に全て溜め込み、語らないやつだった。


ーめんどくせ…ー

ただこいつが泣いているのを見つめる日々。めんどくさいと言葉を当てる以外に適当な言葉があるだろうか。

俺はため息をつきながら一応そいつが泣き終わるのをいつも待っていた。時には日が沈むこともあったくらいだ。

それでも待っていたのだ、そいつが語ろうとするまでずっと。


結局、俺たちが大人と呼べるくらい成長するまでにはそいつからは一言も本音が聞けなかった。

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作者名: | 作成日時:2017年1月16日 1時

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