雪が降る夜に【ONE PIECE】 (ページ16)

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cap15 ページ16

＜ｺｰﾄﾞ＞

はぁ、と溜め息を一つ。

あまりに酷すぎる勘違いに内心動揺しまくっているのだが、表には出さず、至って冷静に…。

「それは手当たり次第に海賊を狩りまくってた頃の話だ。今は休業中だから僕に手を出さない限りは狩らない。……多分な」

「多分って何だ、多分って」

長鼻の言葉は軽くｽﾙｰする。

「あら…なら、残虐で非道な暗殺者というのは誤報(ﾃﾞﾏ)なのね??残念」

「首、へし折って殺した奴もいるけどな」

「ﾋｨｯ、何て事してんだよ!!?」

ｶﾞﾀｶﾞﾀと震える長鼻…と、ｵﾚﾝｼﾞの髪の女。

こんな事で怯えてるような弱い奴ではこの先の海を航海するなんて不可能だ。

強い弱いの問題を含め、精神的にも強くならないと目の前にあるのは、死。

お前達は、まだ弱い。

「っていうかお前、名前教えろよ」

麦わらが肉を口からﾎﾞﾛﾎﾞﾛこぼしながら言う。

…汚い。

「…ﾙﾋﾟｳｽ･D･ｺｰﾄﾞ」

「俺はﾓﾝｷｰ･D･ﾙﾌｨだ!!!宜しくな!!!」

ｼｼｼｯ、と独特な笑い声を洩らす。

差し出された手を払い除け、溜め息をついた。

「あまり人を信じすぎると、いつか身を滅ぼすぞ…特に、この先の海はな」

「それでもだ!!!」

分かってないな、ｺｲﾂ。

「しかしよ、ｺﾞｰﾙﾄﾞ･ﾛｼﾞｬｰは22年前に処刑されたのに副船長のｱﾝﾀと船員のｺｰﾄﾞは討ち首にならなかったのか…。一味は海軍に捕まったんだろ??」

思わず席を立ち上がった。

「ﾚｲﾘｰ、ちょっと風に当たってくるよ」

「…あぁ」

店から出てすぐに涙が溢れた。

ﾛｼﾞｬｰの話をされるといつもこうだ。

何も知らない周りには家族か何かを殺されたんだと思われ、慰められる。

だが、それはとんだ間違いだ。

一人だった僕を拾ってくれたのはﾛｼﾞｬｰだった。

孤独を感じ、自暴自棄になっていた僕を拾ってくれたのは、ﾛｼﾞｬｰだった。

此方の世界に来て、普通に暮らせるようになったのは、全てﾛｼﾞｬｰのおかげだった。

「畜生っ…」

ﾛｼﾞｬｰの病を治せなかった。

僕の力では不可能だった。

苦しみを和らげる事しかできなかった。

やりきれない悔しさが込み上げる。

頬を伝う涙を拭い、空を見上げると。

そこには、青く澄んだ空が広がっていた。