CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ48)

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「うらたさん、提案があります」

「何」と少しだけ眉間に皺を寄せて私を見上げた彼。採血するから来てと椅子に座りながら私に声をかけた彼の目の前、椅子に座らずに私は少しだけ声のボリュームを上げて話した。

「今後血液を提供するにあたって、条件があります」

そう言うと、何故か寄せていた眉間の皺はすっと消えて。「まあ、とりあえず座れよ」と彼に促され、素直に従う。座っても毅然とした態度を崩さない私に何かを感じ取ったのか、頬杖を付いていた手を離して、私と正面で向き合った。

「「菓子の中毒性を弱めて欲しい」…え？」

「わかってるよ」と続けて言葉にした彼。私が話した言葉を同時に発した彼は、私の考えていたことはどうやらお見通しだったらしく。

呆気に取られた私と対称に、まるで当然だとでもいうような表情の彼。手を伸ばして机の上にあった彼らお手製の“菓子”を手に取り、その棒付きキャンディーを手の中で弄ぶようにクルクルと回した。

「中毒性があるのは夢魔元来の特性だから、それを打ち消す物質が見つかれば中毒性を無くす、もしくは弱めることが可能。それをAの血を使えば──て、とこだろ」

一言一句間違いないその言葉にコクコクと頷けば、得意げな顔をして「フン」、と鼻で笑った。私が考える、望むことを予想していたのだろうか。

棒付きキャンディーを振りながら、何かを思い出すように彼は話し始めた。
『確かにお前の血には俺らの特性を打ち消す力がある』。だが、『その力が何たるかを特定するまでには至っていない』と。

既に提供していた血液で私の性質に関することも調べてくれていたらしい彼は、私以上に私のことに詳しいような口ぶりで。

「やってみるにはやってみるけどさあ、…マジで意味わかんねえよ、お前の血。すーぐあらゆる毒性の諸々消しちゃうんだもん」
「毒も効かないんですか、私…」

私の知らないうちに私に関する新発見がされていた。彼が何故毒に分類されるものを持っているのかは謎だが──かなり扱いに困っているらしい。

私の血を取りに来る際、毎回あからさまに喜んでいることが態度に出ているのだが、実験で成果が出るかどうかの結果は別問題だからなのだろうけれど。

「じゃあとりあえず、腕、出して」
「…あぁ、はい」

そうだ、採血のために目の前に座れと言われたのだった。今まで彼に血を抜いてもらったことはなかったが、多分上手くないことはないはずだが。──ん？