CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ44)

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「やから、ありがと」と、にへら、と笑いながら言った彼は少し頬を染めて、照れくさそうに頭をかいた。その笑顔に思わずこちらも頬が緩んでしまう。

「私自身にも何でこうなってるのか、理由は分かりませんけど。…坂田さんが喜んで下さるなら、よかったです」
「おん、わからんくってもAちゃんのおかげやし。ありがとーな」

…辛くなくなった、その手助けができたのであれば。この正体不明の力もいいものなのかもしれない、なんて。机の上の薬品の計量が丁度、殆ど終わった頃。

瓶を片付けて行けば、坂田さんは「量るの終わった！？」なんて少し大きな声を出して。目を輝かせて聞いてきたその真意は、おそらく冷蔵庫の中身が食べたくて。

「ひと段落ついたんやったらさ、センラが切ってくれた果物食べよーや！」

当たり。
それが可笑しくて少しだけ、笑いをこぼしながら了承すると彼は笑顔で喜んで。早く早くと私の白衣の袖を引いてキッチンに向かおうと急かした。

スキップでもするのかというような軽い足取りで連れてこられたキッチン、冷蔵庫に駆け寄った彼は扉を開けて感嘆の声を上げた。どうやらお気に召したようで。

「なんや、ちゃんとフォーク二個刺してくれとるやん…」

量も少し多め、二色の可愛らしいプラスチック製のフォークが刺された果物たち。

ダメ、と言いつつも坂田さんの分も用意してくれていたセンラさんには、すべてがお見通しらしい。くすりと笑みをこぼして、さっそく頂こうと二人で椅子を引いた。

センラさんが帰ってきたら、ちゃんとお礼を言わないと。

さて、これを食べてからまたもうひと頑張りしなければ。そう気合を入れて、目の前の色とりどり、美味しそうな果物に二人で手を合わせた。