CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ4)

今日:1 hit、昨日:20 hit、合計:44,760 hit

1-3 ページ4

特効薬の開発は進んでいない。放置すれば治るからだ。むしろ、その開発に手を付ける暇があるのであれば別のもっと重大な病に効果のある薬を開発しろというのが上層部の意向らしく。勿論その理論に関しては頷けるのだが、問題はここから。

ここ最近になって、その中毒症状が悪化するケースが増えてきたのだ。

その菓子を摂取した後、中毒症状が現れるのは人間のみで、他の獣人等の種族には現れないが人間はこの世界の主権を握る種族。
呼吸困難や酷いときには死に至るこの中毒症状に関する問題は優先的に解決されるだろう。その、解決する過程でうちの研究室に仕事が入ってくると思われる。

で、特効薬の開発の過程で私が被験者となる。
私は孤児院出身であり、生まれがどこかすら分からない為その血脈を辿ることは不可能であるのだが、私は世にも珍しい『様々な病やそれに準ずる体に不具合をもたらす成分を無効化する』という体質で。何か薬を開発した時、被験者を募ってその薬の安全性を証明するのだが、人に投薬する際、真っ先に私が被験者となるのだ。

一番最初にその、原因となる物質を何らかの方法で体内に取り込み採血。その後開発された薬を摂取しまた採血を行い、効いているのかどうかの判断を行う。

…病等の原因となる物質を取り込んでしばらくしてから、体内で出来た抗体を使用して薬を開発すれば手っ取り早いじゃないかと思うのだけれど、私の場合そうもいかないらしく。潜伏期間中に有害物質は突然姿を消してしまうらしい、それはまるで魔法のように。

おかげで何度も採血を行わなければならないから、こちらは少し貧血気味なのだ。勿論鉄分をよく摂るようサプリなどは渡されるけれども。人間が体内で血液を生成するという行為は時間がかかるのだ、赤血球は無限にある訳じゃない。

『今夜の発見！都市伝説スペシャルは、存在が不確かとされる幻のクラブ、X────』

いつの間にかニュースが終わっていたテレビを消して、空のマグカップとボウル皿を持って立ちあがる。のんびりしていたらすぐに家を出る時間になってしまうから、急いで洗い物を済ませて洗面所で準備をしないといけない。

昼食のカップ麺とペットボトルの水、あとスマートフォンをカバンに詰めて玄関に置く。白衣を手に取って袖を通して。苗字はそもそも無いから、Aとだけ書かれた名札を白衣に付ければ仕事モードに早変わり。

さて、今日も頑張らないと。