CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ30)

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地面を蹴るような音、急に変わった景色。カクン、と遅れて衝撃が身体に届きギュッと力強く身体を抱きしめられたような感覚。

顔を上げれば少しだけ離れた位置にある三人の姿、それと今まで私が座っていたソファ。今の一瞬でセンラさんは私を抱えてあの三人から距離を取ったらしい。

成程、三人は彼がこうして私を瞬時に連れていくことが分かっていたから私から離れたのか。

「ちょっと！？何しとんの！？」

ぎゃんぎゃんと騒ぐ頭上の彼。いや、もう遅いのである。もう。既に私の諸々は失われてしまったし、大事な何かを取られてしまった気がする。

センラさんが私から離れて三人の方へ歩いていくのを見て、頭を抱えて下を向けば思い出されるのはあの唇の感覚。強引にされたそれよりも純粋なその優しさに、動悸と動揺が止まらない。

顔をぱたぱたと手で仰いで熱を冷ますようにしながら彼が歩いて行った三人、四人の方を向けば正座させられて説教をされている三人の姿が。ざまあみやがれ。

はあ、と一息つけばいつの間にか瞬時に私のそばへと飛んできたセンラさん。

「大丈夫ですか？痛いところとかないですか？うわぁんすいませんほんまに...俺がAさん一人にしたばっかりに...」

しくしく、といったように私を案じる彼。先程までの、あの三人からの扱いとは天と地の差でくらくらする。大丈夫、大丈夫ではあるのだが。

現状大丈夫で痛いところはないが、既に遅いのである。そう思いながら曖昧に返事をすれば、「別に怪我させたわけじゃねーんだから」という頭上からの声。

見上げればうらたさんと坂田さんがこちらを見下ろしていた。「センラ、コイツ本当に珍しい体質だな、当たりだぞ」等と言っているところから、反省しているような雰囲気は微塵も感じられない。

この口ぶりや彼が私に向ける好奇心の塊のような視線からして、おそらく実験対象のような扱いを受けることは間違いないだろう。勘弁してくれ、頼むから。

「もう、俺らで研究しても原因が掴めんかったからAさんに来てもらったのに。頼みの綱なんやから変なことせんでください！」

ぷんすこと隣で怒っているセンラさんだが、それを気にも止めない素振りで「約束はできねえかな！」と笑顔で言い放ったうらたさん。

私、これからどうなってしまうのだろうか。