CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？【utit】 (ページ1)

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Prolog ページ1

真夜中、午前3時。

夜に沈んだこの街は、ネオンの灯りと鳴り響くサイレン、人々の喧騒で一種の楽園を創り上げていた。
その楽園の一角、廃墟に思えるビルの一室。ある男たちの話し声が僅かに聞こえて。

「…あ」
「何、いい感じの奴でもいた？」
「…え、あ、おん。この人なんやけど───」

書類をめくる音やキーボードを叩く音が響く。先の会話をした二人以外にも、この部屋には武器の手入れをする者や大きなソファに寝転がって睡眠を摂る者もいるようだ。

彼らが手に取った一枚の書類は、一人の女性の写真が載ったものであった。

また別の、暗闇に沈んだ、楽園の光の影に隠れて闇を増すとある一角。

常夜灯が音を立てて着いては消え、研究室を照らす。
その一室の鍵が開けられ、閉じ込められた者達は皆解錠者へと視線を向けた。

カツカツと響く足音、それはとある一つのガラス張りの檻の前で止まる。

「…お前────、俺と来るか？」

その視線は、紅玉のような瞳へと注がれていた。

────あるいは、人々の喧騒に紛れて楽園へと足を運んだ者。

「飲みすぎだろお前、介抱するこっちの身にもなれよぉ」
「いーじゃないすかぁ、こっち来たのも久々だしぃ」
「そーいや出身こっちなんだっけ？」

夜の繁華街、フラフラになった一名を支えるふたつの影。
彼らはこの国に戻ったのが久しぶりらしく、そのうちの一名は自国の料理と酒を浴びるように飲み食いしたらしい。

「てか、俺らだけ先に寄越してなんか目的でもあるんすかね？」
「いや…アイツはまだ目星だけしか付けてない、みたいな事しか言ってなかったような」
「まー別にいいわ、"コイツ"もこっちでやりたいことあるっつってるし、しばらく自由にさせてもらおーぜ」

彼らの目的はまだ、知ることも許されない。

また場所は移る。こことは違う、あれが偽物の楽園だとすると、こちらは真実の楽園だろう。
二人の男性が、カウンター席に座って語り合う真っ只中。

「どう？最近。俺部屋に閉じこもりっぱなしで外の様子全然見てなかったんだけど」
「あー、あんま、かなあ。最近ここに来てくれるお客さんも、あの国の人達は皆疲れた顔してる」

彼はそう言うと、色鮮やかなカクテルが入ったグラスを傾けた。その瞳に映すのは、彼が望む未来か、果たして昔懐かしい栄光輝くのあの頃か。

「なんにしろ、女王の再臨を待つしかない、かな」

理想とする至高の夜は、まだ遠い。