CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ4)

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「…顔、上げてください、大丈夫ですから」
「や、いや…ほんと、ほんまにすんません」

椅子に座って向かい合うとすぐさま頭を下げてきた彼。先程まで何かを思い出すようにして泣いていた彼は、今度は別の理由で──おそらく私に迷惑をかけたと思い込んでいる──泣きそうな顔をしていた。

「…言い訳になってしまうんですけど、夢やと思ってたんです」
「あはは、まあ、そんなところだろうなとは思ってました」

「普通に現実やって…」と項垂れた彼にまあまあと声をかけると、彼は許された喜びと自らを許せない感情で複雑な表情をしていた。

そんなに気にしなくてもいいだろう、人にはそれぞれ弱みや隠したいことの一つや二つ、当然ある筈だ。それが露呈したことへのショックは抱いても、普段世話を焼いている相手に迷惑をかけたなんて思わなくてもいいのに。むしろ、迷惑をかけているのは私の方なのだから。

「ごめんなさい、迷惑かけてもうて」
「いえいえ、全く迷惑とは思っていませんから。むしろ──もっと頼ってくださってもいいぐらいなんですから」

僅かに見開かれたその瞳。私をじっと見据えるその視線に、応えるように見つめ返して。本心だと伝わるように、目を逸らさずに真摯な態度で。

「センラさんは私に遠慮しすぎなんですよ、私はセンラさんのこと、とても頼りにしているのに」

口元を抑えて何だか目を潤ませたような彼。あれ、何だか今話していることとは別の話題、カテゴリで感動しているような気がするけれど。

実際、彼がいたからこそ、この生活を送ってこれたようなものだし。…度々戸惑う出来事も無かったわけではないが。頼りにしているのは事実だ、だからこそ。

「もっと私に頼って下さっていいんですよ。…いや、少し頼りないかもしれませんが」

そう私が言うと、ブンブンと頭を横に振りながら縦にも頷いて。『頼っていい』ということに頷いて、『頼りない』ということを否定しているのだろうが、動揺しているのか声を出せずにジェスチャーがグチャグチャになっている様子が何とも面白い。

くすりと笑みをこぼすと、彼はだんだんと表情が和らぎ、少しだけ照れくさそうに苦笑いを浮かべた。よかった、落ち着いたのだろう。

「…ありがとうございます。そう、ですね。ちょっとだけ、頼っても──ええですか？」

ふわりと微笑んだ彼に、もちろん、と深く頷いた。