CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ30)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:26,765 hit

12-2 ページ30

「はい、俺のオススメ」
「あっ、ありがとうございます」

彼が椅子に座っている私に手渡してきたのは、上にホイップクリームがたっぷり乗った…コーヒー？

研究室にいた際もあまり研究棟自体から出ることが少なかったから、こういった流行りのものに疎い。先程から彼が提案してくる行き先や食べ物は知らないものばかりで、私にとっては目新しいものだった。

「それ、飲み終わったら服見に行くぞ」
「あ、はい」

私の目の前の椅子に腰掛けた彼は、何かのジュースだろうか、コーヒーではない何かを飲んでいる。

普段コーヒーばかり飲んでいるところを見るから何とも新鮮だ。──コーヒーを飲んでいるのは研究に没頭して夜更かしばかりしているから、だろうけれど。

「……ん、これ気になる？」
「ジュースですか？」
「そ。美味いよ、飲む？」
「…いえ、大丈夫です」

手元のコーヒーだけでお腹いっぱいになってしまいそうだし、味見はいいかな、と思って断った。…ただそれだけの理由だったのに、目の前の彼は何かを思いついたような顔をしてニヤリと笑ったのだ。

「何、関節キス気にしてんの？」
「なっ…違います！」
「別に気にしなくていいのに、てか関節よりもっとすごいの既にしてるんだし」
「外でそんな事言わないでくださいよ…！」

いつものからかうモードに入ってしまった彼に大きなため息を着きつつ、ちびちびとコーヒーを飲む。

ホイップの甘さとコーヒーの苦味が上手くマッチして非常に美味だ。さっきメニューを見たらあまり甘すぎないものから、とことん甘そうなものまであったから、あれは志麻さんが好きそうだな〜なんて考えてみたり。

食べ物もあるのか、とレジ横のショーケースをじっと見てみたり。ケーキやタルトがたくさん置いてあって、どれも美味しそうに見える。

──と、それを彼に見られていたのか、コーヒーを飲み終わって店を出る際に彼は持ち帰り用にとスイーツを注文してくれて。

普段悪戯っ子のような顔をして私たちをからかってくるのにスマートだな、と感心しつつ、お礼を言って素直にそれを受け取った。

「センラの趣味の服ばっかあるからなあそこ、お前の好きそうなやつも買っといた方がいいだろ」

彼はそう言って、何だかキラキラした若い男女がたくさんいるファッションビルへと私の手を引いて入っていったのである。