CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ24)

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「あいつらが出る前に自主訓練してたの、やから眠いねん」
「…なるほど。だから今日割と返答が雑だったんですね？」

あー、わりい、とあくび混じりの返答。本当に眠そうだ。

その通り、『よくわからん』の一点張りだった気がする。彼に専門外の話をした私も私だけれど。…というか、彼はよく一人、か誰かを連れて訓練しに行くことが多い気がする。

「ほんとに戦うこと、というか強くなることが好きなんですね…？」
「…あぁ、まあ、軍神の血がどこかに流れてるっぽいし、本能的なもんなんやろ」

「…軍神？」

彼が当然のように言ったその言葉に引っかかって。確かにこの世に神は存在する──そう、常識のように扱われているけれど。

その神の血を引くとは、どういうことなのか。
…そういえば。以前彼と話をした際、力が強い、という話の流れで『混ざっている血』がどうとか、そういう話をしたような。

その時はあまりいい反応をしていなかったような──…あ。

「…そんな『聞いちゃった』みたいな顔すんなや、別にもうええわ、付き合い長なってきたし」
「聞いても大丈夫、なんですか」

「おう」、とぶっきらぼうな返事をした彼は、ぽつりぽつりと自分自身の話を始めた。戦うことが好きな事、強くなることが好きな事。それでも、一番大切なのは。

「アイツらを、お前らを護れること、かな。強くても一番護りたいもん護れへんかったら意味無い」

だから、強さを追い求め続けると。

少しだけ、彼は昔の話をしてくれた。西洋の神の血を引く、とされる自分は基本的には夢魔として生きてきたが、高潔なものだと信じられている神を信仰する者には夢魔であるから故に必要とされなかった。

逆に夢魔の方には神の血を引く故、嫉妬や憎悪を向けられることが多かったと。幸い自分が強かったこともあり、そういった余計なものは切り捨ててきたが、ある時例外に出逢った。

それが、今一緒にいる彼ら。

自分達ははみ出し者の集団だ、それでも。
必死に生きている、こんなところで余計なものに足を取られている場合じゃない。一人で何度も壁にぶち当たってきたんだから、今回の件も越えられないことは無い筈だと。

「…なんか、寝るつもりやったのにめっちゃ喋ってもうた気ぃする」
「…あはは、すみません。でも、ありがとうございます」

あくびをしながら返事をした彼は、「じゃあ、寝るから」と言ってあっという間に寝息を立て始めた。