CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:26,771 hit

10-3 ページ18

「それじゃ、俺はあっちで昨日の続きやるから。ここで休むなら休んでいいから。でも絶対パンはこっち持って来んなよ、パンくず落ちたら面倒だし」

そう言って、うらたさんは空になったコーヒーカップを残して立ち上がった。確かに、普通実験室で食事をすることは基本避けたいものだ。

たまについつい軽食を持ち込んでしまう時があるから気をつけないとな、と能天気に考え事をしていたら、目の前の彼がぽつりと言葉をこぼした。

「ごめん、昨日、迷惑かけて」
「…ん、迷惑とは思ってないよ、大丈夫。元気になってよかった」

えへへ、と困ったように笑う彼。私としては、元気になってくれたのは非常に喜ばしいことなのだけれど、昨夜のあの訳のわからない感覚を思い出すだけで背筋に何かが走るような感覚がして──いや、やめておこう。

「あ、のさ。内緒にしてて欲しいんやけど」
「？…うん」
「俺、ちょっと前から急にAに近寄らんくなったやろ？」

『内緒にしてて欲しい』と話し始めた彼が言うのは、おそらく倒れてしまった理由。少し戸惑うようにしながら、言葉を一つ一つ選ぶように話す彼が困ってしまわないようにと黙って相槌を打ちながら話を聞いた。

「最初、はAのこと、気に入ってるかな〜って感じやってん。食べたら甘いし、あんま怒らへんし。それがなんか、センラと急に仲良くなったら──いや、元からずっと一緒におったけどさ。なんか急に距離近なってるし、それでちょっともやっとして」

サンドウィッチを少しずつ口に運びながら、飲み物も時たま口に含みながら話す彼。ずっとトレーの上を見つめたままの彼とは、目が合わない。

「やから、俺ももっと仲良くなりたいって、センラと同じようにしたいってお願いしたやんか。で、なるべくAと一緒におったら俺も元気なるし、仲良うなれるかなって、長い時間一緒にいてたつもりやってんけど」

持っていた食べかけのサンドウィッチをトレーの上に乗せ、飲み物だけを持って視線を彷徨わせた彼。どうしたのだろう、と思っているとその飲み物を口にして。

「…なんか、Aと一緒におるうちに、ちょっと、さ」
「…うん」
「近いのが恥ずかしいっていうか…いや、昨日からやっぱ近いと嬉しいって思うようになってんで？…でも、そんときはAの事考えたら、ドキドキして」

雲行きが怪しくなってきたように感じる。横目で後ろの方を見れば、この会話が聞こえているのかうらたさんが肩を震わせて笑っているように見える。