CRUSH × BUZZED × CRAZY ！？Ⅱ【utit】 (ページ14)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:26,768 hit

9-8 ページ14

夕飯も食べ終わって、しばらくしたらセンラくんがお皿を下げに来てくれて。それでも坂田くんは目を覚まさなくて──ただ、うらたさんがたまに来て確認してくれる限りはどんどん快方へ向かって行っているらしい、けれど。

そう、先刻、うらたさんは「あー、そろそろだな」とだけ呟いて、「終わったら呼んで」と言って去ってしまったのである。"終わったら呼んで"って何、何。と彼のことを恨めしく思いつつ。

ずっと待つだけ、それだけだから少し、段々と眠気が襲ってきて。

うらたさんが『手握ってて』と言ったのは多分、接触することでより力を分け与えることが出来るから。なら、手だけは離さないようにしないと──と、眠気に勝てずうつらうつらと船を漕ぎ始めたその時。

「……ん」

彼の声が、僅かに聞こえて。
瞬時にパチ、と開いた自らの瞳。彼の顔を見ると、少し眉間に皺を寄せて唸っているような。起きた、のか？そう思って彼に声をかけようとして。

「坂田くん、坂田くん」
「…ん、ぅ、ん？」

ぼんやり、うっすらと開いたその紅の瞳。いつもの輝くような、はつらつとした瞳ではないけれど。それでも目が覚めたことへの安心感に、思わず安堵の息を漏らす。

彼はまだ夢心地、のような雰囲気でぼんやり私のことを見つめて。

「……ゆめ？」
「ゆ、夢じゃないよ。……はあ、よかった…」

夢？なんて聞いてぼけっとしている彼。──少し、今の彼のぼーっとしている状態なら、彼の記憶に残らずに終わらせることが出来るのではないかと──そう、邪な考えが頭をよぎるが。

ダメだ、ちゃんと説明しないと。有耶無耶にして終わらせるのはダメだ。

「坂田くん、起きてばっかりで申し訳ないんだけど、大切な話、してもいいかな」
「んー？…うん」

今の状態で説明するのは、少しだけ狡いのかもしれないけれど。正常な判断が彼に出来るとは思えないが、事態は一刻を争う。

どう、説明しようかと思考を巡らせて。…いや、今の彼に遠回しに伝えても混乱させるだけだろう。じゃあ、そのまま伝えるしかない。

「坂田くん、君、摂取エネルギー量が足りなくて倒れちゃったの。覚えてる？」
「あー、うん。うらさんが、呼んでたような」
「そう。うらたさんが見つけて、センラくんが運んでくれて。今、点滴もしてて、私も坂田くんのそばにずっといたの」

彼は視線をゆっくりと左右に振らして──点滴と、私の顔を交互に見た。