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束の間のにがさ ページ5
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「面倒ばかりかけて 本当にごめんなさい」
色の抜け落ちた すっかり血の気のない顔では とても身に纏うべきではないなと 朝の陽射しに晒されながら思う。
「そんなことは… 」
こんなときのフーゴの挙動は あまりにも わかり易い。
ぎこちない微笑みを口許だけに浮かべて 俯いている。
「ありがとう フーゴ… 」
それじゃあ… またあとで」
ふらふらと 頼りない起き抜けの身体を ヒールで支えられる気がしないので 素足で ぺたぺたと階段を降りていく。見知った車が 後部座席の扉を開け放って路肩に停車している。
「ちなみに報酬はしっかりと頂くからな」
「報酬って？」
ミスタはシートへ沈み込んだ 私に占めたとでも言うような表情をして、チョコレートバーを差し出す。
「次の休み 付き合えよ」
「そんなのお安い頼みだよ」
こうして 私の逃避行は 滑稽にも1日を満たずして、呆気なく幕を閉じた。
これから待ち受ける ジョルノからの詰問か あるいは折檻かとにかく 恐ろしい仕打ちを想像しながら齧るチョコバーは 土のように ぼそぼそとしていて、味気のないものだった。
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作者名：孔雀の子 | 作成日時：2019年3月31日 8時
