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(if) ありもしない日 ページ17

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(注意) 暗チ生存if





「信じられないな」



昂る感情のあまり震えるメローネの呟きに 動揺を悟らせぬように そっと息を呑んだ。

“信じられない” それは、こちらの台詞である。



「ほら… アレが見えるだろ 頭だよ」



人の そういった嗜好には寛容な方だと思う。何せ、片割れは あんな風だし… それを異質と認識しながらも受け入れ続ける私も大概 かもしれないのだから。



けれど、この男のソレには 理解を示しているような素振りこそできれども 腹の底では 嫌悪している。

そうせずには とてもいられない。



とうの昔に閉館した映画館に映写機を持ち込んで “最高の”映画に 最高の酒としけ込もう という 時間だけを持て余した私には あまりにも魅力的すぎる提案に 諸手を挙げて乗ったが最後。

「あぁ… 君もこうして生まれてきたの?

そんな筈はない 信じられないよ… 」

一体 どこから仕入れてくるのか 出産の映像 それも観せるために撮られたもの。 教材なんかとも違う、明らかに “そういう”意図を孕んだ 映像 それが くどくど垂れ流される、この悍ましい空間で繰り返される“信じられない” は、どうも彼の口癖らしい。


「ちょっと… 」


平常心を装うのに必死で、メローネの欲を孕んだ その眼差しが 自分へ向けられていることに今の今まで、すっかり気が付けずにいた。


「君の胎も膨れるのかな」

「僕は それを見てみたい」

私が拒絶の意を示すのも構わずに 濃紺のプリーツを弄んでいた その指先を嬉々として 太ももの内側へ 蛇のように這わせていく。



「私に“も”母親の素質が…?」



「まさか!君は…



「メローネ!んなとこに居たのか!」

ギアッチョだ。

メローネに詰め寄っていく最中 私の存在に気がついた ギアッチョは、空気の抜けていく風船のように みるみる勢いを失くし 映写機が映し出す映像に目を向ける。



「悪かったな メローネの悪趣味に あんたを付き合わせちまって」



「平気 酷く退屈してたから。それよりも なにか取り急ぎみたい。私は出るね」



お開きの意を込めて ふたりに手を振って、出入り口の扉を押し開けると きらきら埃が舞った。



(if)ありもしない日



メローネの悪趣味に付き合う暇な昼下がり オチなどない

(if) X・ドーター→←ぎらぎら鋭い



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孔雀の子(プロフ) - 鶩さん» 引くわけありませんんん!じゃんじゃん詰め込みましょう!? (2019年2月15日 4時) (レス) id: e65ad6e5bc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - わぁぁぁ!!気に入って頂けたみたいで良かったです!!私の好きを詰めてしまったものなので、皆様に引かれてしまったらどうしようと思いながら書きました....(恥) (2019年2月15日 0時) (レス) id: 22c497b882 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀の子(プロフ) - 鶩さん» さっそく読ませていただきましたよ~!ぐろぐろに暗チ… スキが盛りだくさんで性癖に刺さりまくり!最高でしたッ!! (2019年2月15日 0時) (レス) id: e65ad6e5bc (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 孔雀の子さん» 孔雀の子さんにそんなことを言われたら........書いちゃいました(照) (2019年2月14日 23時) (レス) id: 22c497b882 (このIDを非表示/違反報告)
孔雀の子(プロフ) - 鶩さん» とっても嬉しい!ありがとうございます!!鶩さんの書く文章が大大大好きなのでいつか鶩さんの書くケーキバースも読んでみたいです!! (2019年2月14日 20時) (レス) id: e65ad6e5bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:孔雀の子 | 作成日時:2019年1月3日 0時

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