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バレンタインの日の学校は大盛り上がり。
誰が誰に渡したとか色んな話が聞こえてきておもしろい。
やっぱり龍也はたくさんの女子生徒からチョコを貰っていてモテモテだなぁ、とちょっと悲しくなる。
高橋「Aさん？」
「あ、高橋先生……」
職員室の前でぼーっとしていると高橋先生に話しかけられてしまった。
わたしこの人苦手なのに……
高橋「今日バレンタインだよね。特別にチョコあげるよ」
「え、いいんですか？」
特に仲良くしてるってわけでもないし、どちらかといえば仲悪いし……
なのになぜか今日はご機嫌で不気味。
「え……これ高橋先生が作ったんですか？」
高橋「そうよ」
それはすごくオシャレなガトーショコラで見るからに美味しそうだった。
もしかしてこれ龍也にもあげるつもりなのかな…
だとしたらわたしのブラウニーとクオリティの差がありすぎる……
「ありがとうございます、美味しくいただきます……でもほんとにわたしなんかにこんな素敵なの渡してもいいんですか？」
高橋「ええ、わたし今日は特別に機嫌いいのよ」
なんて自分で言って楽しそうに笑うから余計に不気味だ。
なんでそんなにご機嫌なの……
高橋「実は今日夜に七五三掛先生と飲みに行くの」
「え……」
わたしは何も聞いていないのにベラベラと楽しそうに話し出す高橋先生。
うそ……龍也と2人ってこと……？
どうしよう、龍也が高橋先生のこと好きになっちゃったら……
ていうかもう好きだったらどうしよう……！！
昨日までの自信が一気に不安に変わって今すぐ泣きたい気分だった。
だけどそんなの高橋先生には悟られたくないから頑張って表情には出さなかった。
「そうなんですね……楽しんでください」
そう言ってその場を立ち去ろうと走り出すと、前から歩いてきた龍也に激突してしまった。
「ごめんなさい、！」
『あ、中村さん。大丈夫？』
廊下に座り込んでしまったわたしを心配そうに覗き込んでそう言うから、その優しさに胸が苦しくなる。
「大丈夫です……先生、今日の放課後資料室で待っていてもらってもいいですか？」
『資料室……ってこの前使用禁止って言われたとこだよね？』
「はい。でも静かにしていたらバレませんから！」
高橋先生と飲む前にちょっとだけでいいから時間をちょうだい。
本当のことを言うのは今日じゃないとダメな気がするから……
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作者名：ｻﾘｰ。 | 作成日時：2020年1月18日 17時
