R , 1 ページ2
(祐歌side)
「天宮くん！！」
病室のドアをガラッと開けて部屋に突っ込む。病院でとるべき態度ではなかったとは思うが、今はそんなことに気を使っている時間がもったいない。
──私を呼び出した、ベッドの横で俯く天宮くんの話を聞くことが何よりも最優先なのだから。
「ねえ、どういうこと、Aが、Aが倒れ……っ！」
「……如月さん」
そこに居たのは、変わり果てた友人と、項垂れるようにか弱く微笑んだクラスメイトだった。
それは数時間前のことだった。天宮くんから急に電話がかかってきたのは。
『Aが、倒れた…意識不明の重体だって……』
時が止まった気がした。実際止まっていたのは時ではなく息で、喉が、ヒュッと嫌な音を立てた。
「Aは、今どこにいるの…！」
その後私は病院の名前を聞き出し、心配して止めるお母さんの声を振り切って急いで病院に来たのだ。
「……A、A！！」
ベッドに縋りついて名前を呼ぶ。ドアを開けて誰かが入っていく音が遠目に聞こえたが、それすらも無視してAに呼びかけた。
「…君は？」
「…私は、Aの友達の……いえ、親友の如月祐歌です」
部屋に入ってきたのは落ち着いた雰囲気の男性2人だった。見た感じ大学生だろうか。
天宮が、琉依さん、司さん…と呟いたので恐らくあのうちの高校の卒業生として有名な2人だろう。普段なら緊張してドキドキするはずなのに、今はそんなの余裕すらなかった。
「…そっか、君が如月祐歌さんなんだね」
「…どうして私のこと、知ってるんですか？」
「Aさんから聞いたことがあったんだよ。1番の親友だって」
司さん、という方が私の名前を呼んだのが不思議で訳を尋ねると、司さんがしみじみとそう言う。
その言葉に思わず涙が一筋ずつ目から零れてしまった。
「……ねえ、A…どうして頼ってくれなかったの…私たち、親友なんでしょ…？」
また苦しくなって床に座り込んでしまった。
もちろん、Aが返事を返してくれることなんて、なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1785人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紫音 - 作者さん！頑張って下さい！応援しています。 (2020年4月21日 3時) (
レス) id: f284f93940 (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一気に呼んじゃいました…！！続編楽しみにしてまってます！！ (2019年8月5日 0時) (レス) id: 7dea81a844 (このIDを非表示/違反報告)
舶(ﾊｸ)(プロフ) - とても引き込まれる内容で一気読みしてしまいました。お気に入り失礼します。更新待っています！ (2019年2月27日 14時) (レス) id: 7017cc79b6 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 続編おめでとうございます！関係ないですがTwitterの方のラブレターで切腹と机拭きのやつ私です← (2018年12月20日 16時) (レス) id: 24d7937625 (このIDを非表示/違反報告)
游 - ずっと、ずっと前から、応援してました...！更新されてるのに気付いて、ついさっき駆けつけました！本当に、更新してくれてありがとうございます！これからも、頑張ってください！ (2018年12月17日 20時) (レス) id: cb81d0bb92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：わっふるくりーむ | 作成日時：2018年11月17日 22時
