そして君に僕は溺れる ( Yt × Ym ) (ページ26)

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Yt side

『俺は、知念や裕翔みたいに

外見じゃなく、俺自身を見てくれる人がいて

嬉しかった。

でね、裕翔を見た時あ、この人だって思った。

この人が俺の運命の人だって。

何でかは分からないけど、直感でそう思った。』

そう語るやまの表情は切なく、どこかほっとした

ようだった。

過去の話をすることはとても勇気のいること。

やまにそんな過去があるとはもちろん

思わなかった。

でも、それでも俺はやっぱりやまが好きで

やまが愛おしくて仕方がないのだ。

俺はいつもより、肩をすくめてぽつぽつと話す。

やまの前だと本音が口から溢れてしまう。

それでも俺は自分の本音を隠せない。

｢やま、俺ね、やまが離れていくのが怖い。

やまとずっと一緒に居れないのはやっぱり怖いよ。

話せないとすぐ不安になるし

やまにその度に何回も離れないでって言うかも、

それでも、やまは、俺を受け入れてくれる？｣

するとやまは涙を流しながらふっと微笑み

当たり前じゃん、ばか…と俺の胸に顔を埋める。

『誰が離すもんかっ、誰が離れてやるもんかっ

裕翔にいっぱいいっぱい愛されるなんて

逆にこの上ないほど幸せだわ…っ』

・

｢もういいんだよ。

もう我慢しなくてもいいんだ。｣

俺の心の中にいる俺がそう答える。

あぁ、もう時効なのか。

俺は自分で自分を縛って苦しめていた。

もう解放される時が来たんだ。

やっと神からの許しが得れたのだ。

｢やま、っ…俺に、やまを、愛させてください｣

俺はやまに乞うように言った。

するとやまは俺の冷めた心を溶かすように

ゆっくりと俺を抱きしめた。

『こちらこそ…俺を、愛してくださいっ』

その声は、やまの体温のように

とても温かく、優しかった。

じわりと俺の心の中の氷が熔けていく音が聞こ

えてくる気がした。

・