そして君に僕は溺れる ( Yt × Ym ) (ページ19)

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Yt side

やまが選んでくれたコーディネートは

とてもセンスが良かったから結局買ってしまった。

うん。これね

多分きっとカリスマアパレル店員にでもなれるよ。

俺とそんな気持ちを知る由もなく

やまは俺の持つ袋を嬉しそうに見つめ

るんるんとショッピングモールを歩いている。

『ゆーとー！

次どこ行く？ね、俺アイス食べたい！』

先程食べたパフェやランチはどこへやら

やまが指差すのは

雲の形をした可愛らしいワゴンショップ。

そこの看板メニューは雲をイメージした

ソフトクリームらしい。

やまは看板のアイスを見つめ、キラキラと

目を輝かせている。

そんなやまに俺はきっと甘い

｢ふふ、はいはい。

俺アイス買ってくるからそこのベンチ座ってて？｣

するとやまはえ！？いいよいいよ！と

俺をベンチに座らせようとするが

俺は優しく断り、やまをベンチに座らせ

アイスを買いに行った。

・

・

結局、自分も釣られて買ってしまい

俺の手には可愛らしいアイシングクッキーの乗った

ふわふわのソフトクリームである。

それを美味しそうに頬張るやまを想像している

自分は、きっととてつもなく気持ちの悪い顔を

公共の場に晒していることだろう。

俺はやまの待つベンチに戻る。

すると、やまは変わった男の子に話しかけられて

いて、苦笑いをしていた。

｢にゃー！！

きみ、りょーとかおがそっくりねっ！｣

『そ、そうですか？

あ、ははは…』

やまを助けようと

慌ててやまの元に駆けたとき

｢あー！！こら！涼介！

お前、男の子が困ってんだろーが！｣

八重歯の特徴的な彫りの深いかなりイケメンな

男性がやって来て、やまにそっくりな

その男の子を連れていく。

｢あ、君あの子のお友達？？

ごめんなぁ、あの子にも一応謝ったけど

お騒がせしました…｣

と、困った顔をして自分の髪をわしゃわしゃと

掻く。

｢あ、いえいえ

それにしても、その方、本当にやまにそっくり…｣

するとその男の人はいや、マジそれ！

と俺を嬉しそうに見て、ニカッと笑い

八重歯を見せる。

｢これも、なんかの運命なのかもな。｣

｢ねー、ひかるくん！ごはん！｣

｢わーったわーった、

じゃ、俺らはこれで。あ、これさっきのお礼に。｣

と、紙切れのようなものを渡し、去っていった。

｢…屋上遊園地のチケット？

…っあ、アイス！｣

俺は溶けそうなアイスを握りしめ

やまの元へ向かった。