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辰哉side
様子を見に行くと
辰哉｢……A、どうしたの｣
A｢……いかなきゃ、にげたく、な、｣
上はパジャマで下はジーパン、モコモコの靴下を履いて、ちゃんと結べてない髪に水だらけの口周りで玄関にﾍﾟﾀﾝ、と座り込んでいるAがいた
A｢たっちゃ、おくって、いく、｣
辰哉｢今は大学おやすみだよ？｣
A｢いかなきゃ……いかなきゃ……｣
こういう時、いつもヘラヘラ笑いながらパニックになるから一瞬恐怖を覚えてしまう
A｢へへっ、だいが、く、ｸﾞｽｯ、あ、｣
辰哉｢ほら、心は行きたくないよー、って言ってるよ｣
背中擦りながら、立ち上がろうと何度も空を切る手を優しく捕まえて目を見ながら優しく声をかける
A｢……ｸﾞｽｯ、ｸﾞｽｯ、いかな、きゃ｣
相当調子悪いな……
朝は調子良かったんだけど……
辰哉｢大丈夫大丈夫、絶対また行けるようになるから。その時までお家でお休みなあ｣
A｢ｸﾞｽｯ、んっ……｣
辰哉｢大丈夫大丈夫、ちゃんとそばにいるからな｣
抱きしめたままゆらゆらと揺すっていると
疲れてきたのか腕の中でウトウト
ただ、Aは眠るのを怖がるから……
A｢……っ、やあ、｣
辰哉｢大丈夫たっちゃんそばにいるよ……｣
夜は弱い睡眠薬を飲んでいいことになってるから、夜の薬と一緒に出すんだけど、それ以外は飲めて頓服だけ
朝も飲んだからまだ飲めないだろうし、困ったなあ…
って、1番辛いのはAだからな、どうしたら少しでも安心できるか考えよう
辰哉｢……じゃあ、寝なくていいから、ソファ行かない？｣
A｢……((首振り｣
辰哉｢Aの好きなキャラメルマキアート飲もうよ｣
A｢………………キャラメルマキアート｣
辰哉｢どうよ、好きでしょ？｣
A｢……((小さく頷き｣
これは、病気になってから好きになったもの
暖かいキャラメルマキアートが落ち着くみたいで
ご飯も薬も寝るのも前向きじゃないAが唯一前向きな気持ちで摂取してくれるもの
辰哉｢……よし！じゃあリビング行こ(^^)｣
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作者名：ひろみ | 作成日時：2021年3月16日 18時
