252話 ページ8
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腰に回された小さな手
白くて、綺麗で、傷も汚れもひとつもない
もしも今自転車なんて漕いでなかったら
危うくその手に自分の手を思わず重ねていたかもしれない
そう思うとやっぱり今の状態でよかったと思えてくる
鳴｢(手、ちっちゃい)｣
鳴｢(女の子の手ってこんなもんなの？)｣
何かを言いかけていたはずのAは
まるで何もなかったかのように黙り込んでしまった
一体何を言いかけていたのか気になるところだが
回された手を更にぎゅっと強く握る姿を見て
全てがどうでもよくなって
A｢次の角…右に曲がってください｣
鳴｢はーい｣
言われた通りに右の角を曲がったその時
追い打ちをかけるかのように
背中に何かがコツンと触れた
痛いわけでもなんでもないのだが
何が触れたかはハッキリとわかった
鳴｢え……｣
頭がどうにかなりそうだった
正直送ってくと言い出したあたりからかなり限界だったのに
こんなことをされたら頭の中にある脳みそが飛ぶ
この状況に驚いているのは他の誰でもない
家まで送ってくなんて信じられないことを言い出した
自分自身なのに
こんなことがあっていいのだろうか
鳴の頭は今、非常に混乱を極めている
A｢あの、成宮くん｣
A｢もしも…私にどうしようもないくらい｣
鳴｢うん…｣
A｢大好きな男の子ができたって言ったら｣
どうにかなってしまうんじゃないか
そう思っていた頭を一瞬で元に戻したのは
良くも悪くも、この世で1番大好きな女の子の言葉
まだ例のイケメン高身長男の正体すらわかってないのに
そんなタイミングでこの話題だ
いやでも心臓がバクバクと音を立て、血の気が引いていく
まさかアイツがそれなんじゃないか
そう思わずにはいられなくて
A｢成宮くんは…どうしますか？｣
鳴が突然の言葉に更に混乱する一方で
Aは自分なりに上手く隠して気持ちを伝えているつもりでいた
好き、とは明確に言わずもしもの話で誤魔化す
どんな答えが出たって何かが変わるわけじゃないのに
鳴｢それは…応援するよって、そこはかっこよく言いたいけど｣
ブレーキがかかり、ゆっくりと振り向く
その顔はどこか
鳴｢多分俺は…そこまでかっこよくなれない｣
切なくて
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みこ(プロフ) - 初めまして！途中から号泣しつつ、焦ったくてソワソワしてました(*_*)更新楽しみにしてます！ (6月3日 23時) (
レス) id: f5c0cfc27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちあき | 作成日時：2022年8月11日 5時
