【◇】銀木犀 6. (ページ3)

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247話ページ3

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一生懸命全てを背負って頑張る姿を見て

自分と比べて勝手に惨めな気持ちになって

やっぱり違うんだ、ダメなんだって思ったけど

本当にそれだけ？

A｢(邪魔したくないとか、私とは色々違うんだって思ってたけど)｣

A｢(でもやっぱり)｣

苦しかった

こんな場所来なきゃよかったって正直思うくらい

あんなに近かったはずの人が遠くにいるような気がしたし

何より女の子の声援が1番心に来たと思う

どうしてそう思ってしまうかなんて決まってる

そんなの憧れと尊敬だけなら思わない

A｢好きなんだ｣

どうしよう

初恋は叶わないってよく聞くけど

本当にそうなのかも

だって、初恋の相手が相手だ

絶対叶うはずがないって思ってしまう

それをずっと前から思ってたから逃げようとしてたんだ

｢成宮のこと？｣

A｢うん｣

もう終わった、ダメだ

何度も自覚しかけたけどとうとうハッキリさせてしまった

成宮くんが100ならせいぜい私は5くらいとか

意味わからないことばかり考えて

周りの女子に嫉妬して

どうにかなりそうだった時

横から聞こえた誰かの声に勝手に答えてしまった

｢ふーん、そう｣

｢別に前から知ってたから驚きはしないけど｣

恐る恐る視線を横に向ける

目に入る真っ赤な髪

見覚えしかない

A｢し、白河……くん｣

白河｢練習見に来てんじゃないの？｣

A｢そうだけど……でも、もう帰る｣

白河｢本当に？｣

A｢本当に｣

ある意味、終わったかもしれない

何がって

もう全てが

A｢今の、聞こえたよね｣

白河｢聞こえない方がおかしい｣

A｢だよね｣

白河｢別に言いふらそうとか思ってないから｣

A｢…………うん｣

聞かれた相手が白河くんでよかった

もしもこれが女子だったり他の人だったら

それこそ大惨事になってたはず

この気持ちは誰にもバレちゃいけない

白河｢まだここにいた方がいいと思うけど｣

A｢なんで｣

白河｢………………何となく｣

会話が死ぬほどぎこちなかった

何か言いたそうにしてるのはわかるんだけど

結局白河くんは何も言わない

ただただ気持ちがバレてしまった私の胃が痛むだけ

やっぱり来るんじゃなかった