259話 ページ15
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嬉しい、幸せ、楽しい
そんな思いだけではない
どちらかと言えば今の気分は最悪だった
嬉しいことのはずなのに素直に喜べない
鳴｢なんかあった？｣
いつもは明るくて、子供のような笑顔を見せる人が
眉を下げて、悲しそうな、切なそうな表情を浮かべている
かけられる言葉や表情が複雑な感情で満たされた心に
深く根を張ってこれでもかと突き刺さる
A｢………………ううん｣
どうしたらいいのかわからないのは
どちらも同じだった
どう接したらいいのか、何を言えばいいのかわからない
近づいたかと思えば離れてを繰り返すもどかしい関係
友達とも、恋人とも言いきれない
互いの気持ちを知らない現状
本当は互いを心の底から好きでいるのに
A｢本当になんでもないの｣
鳴｢本当に？｣
A｢うん｣
涙で濡れた頬に髪が張り付く
相変わらず体は熱く、頭が痛い
この気持ちに気づいてしまった以上今までのようにはいかない、そう思ってしまった時
温かい、優しい手がそっと頬に触れた
鳴｢泣かないでAちゃん｣
普段からは想像もつかないほど
細く、小さく、弱い声
そっと頬に触れると涙で張りついた髪を直し
いつもAがそうしているように耳にかけた
A｢ねぇ、成宮くん｣
踏み出してしまえばもう二度と戻れない
それでも進んでしまうのはどうしてだろう
嬉しい楽しい幸せといった感情よりも
わからないことばかりが増えて
知るのが怖いくせに矛盾するかのように
答えを求めている自分がいる
A｢私と成宮くんは……これから先も友達？｣
耳に触れた手がピタリと止まる
それこそ音は聞こえず
Aも気づいていなかったが
この時確かに鳴は息を呑んだ
Aからの質問の答えなんてもう既に決まっていて
彼からすれば揺るがないものになっていた
それなのに彼に突きつけられたのはこんな言葉だ
友達よりも先のことを望んでいるのか
友達以上のものはないと確かめるためのものなのか
どちらとも言いきれない言葉を前に全てが止まった
鳴｢…………どっちがいい？｣
好きで好きで仕方ない
でも、向こうはそうではないかもしれない
そんな所までこの2人はぴったりと同じになってしまった
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みこ(プロフ) - 初めまして！途中から号泣しつつ、焦ったくてソワソワしてました(*_*)更新楽しみにしてます！ (6月3日 23時) (
レス) id: f5c0cfc27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちあき | 作成日時：2022年8月11日 5時
