246話 ページ2
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あんなに近かった人が一瞬で遠くにいるような気がした
というか
最初に戻った、現実に戻されたといった感覚に近かった
一瞬も緩むことのない表情に常に先を見ている視線
圧倒的という言葉がよく似合う雰囲気
そしてウンザリするほど視界に入る沢山の女子の姿
全てがグサリグサリと背中に突き刺さってる
A「(やっぱり立つ場所が違う)」
A「(私はそこに踏み込めない)」
きっとこの気持ちは憧れと、尊敬と、妬みだ
きっとそう
自分にはないものを全て持っていて羨ましいだけで
それ以上でも以下でもない
─こんなこと死んでも言いたくなかったけど
逃げ出すようにその場から離れて
色んなことを考えた
最初は自分とは違う世界にいるような人だって思ってた
でもだんだん近くなっていくのが嬉しくて
心のどこかで幸せだって、思ってたのかもしれない
見に来てと言われても何度も断った
それなのに不思議なことに
今日は何故か足がこの場所に向かって
来てみればこのザマで
近くにいたような気がしたのにどんどん遠ざかって
やっぱり無理だって、また諦めようとしてる
本当はどんな気持ちでいるかなんて分かってるはずなのに
─Aさぁ、アイツのこと好きでしょ?
また私は逃げようとしてる
自分の気持ちを隠そうとしてる
どうせって世界一くだらない言葉を使って
せっかく手に入れた大事な気持ちを捨てようとしてる
邪魔したくないからとか綺麗事を並べて本当は逃げてるだけ
A「(好きになっていいのかな)」
A「(私みたいな人が、あんなに凄い人を)」
今まで色んなことを諦めてきた
じゃあ今回も
変なことをうだうだ並べて諦めるのかな
本当にこれは憧れと尊敬だけ?
A「(……何考えてるんだか)」
A「(バカバカしく思えてきた)」
藍里の言ったことは間違いじゃない
その通りだと思う
じゃなきゃ色々変だもん
憧れと尊敬だって必死になって隠そうとした
自分に自信がないから、自分の嫌なとこが見えてくるから
見えるものが、立ってる場所が違うからって
でも何回そんなことを思ったって
必死に逃げる言い訳を作ったって、何も変わらなかった
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みこ(プロフ) - 初めまして!途中から号泣しつつ、焦ったくてソワソワしてました(*_*)更新楽しみにしてます! (6月3日 23時) (レス) id: f5c0cfc27f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年8月11日 5時