エピローグ : 華の名前 ページ48
(カリムside)
夜明けまで続いた宴は、緑の閃光が空に広がると同時に静かに終わった
リリアや監督生達と密着して戯れていたグレイも
クルーウェル先生と話し込んでいたグレイの兄も
ずっと俺の隣にいた妹も
日が昇ると同時に消えた
まるで幻のように、跡形もなく
「おかげで少し気持ちが晴れたわ」
ヴィルが宴の後こっそり俺にそんなことを呟いた
「イモガイちゃん、今度現世に帰れた時はラウンジに来るんだって」
フロイドは自慢げにそんなことを話した
レオナも何も言わないが、あいつもどこかスッキリした顔をしていた
グレイと何か話し込んでいたから、それと関係あるのかもしれない
「やはり白い花だけだと飽きると怒られてしまった！これから色んな品種を探さねばのぉ…」
リリアが楽しそうに"これから"を語る
皆が前を向きだした
大切な人の死を乗り越えようと踏み出した
それは、俺も同じだ
「A」
個人的に休暇を取って、俺はジャミルと共に熱砂の国へと帰って来ていた
あの夜Aが教えてくれた言葉をもとに、家中の者がアバブアという国を探し回り、そして見つけ出した亡骸
七年越しにようやく見つけた、妹の遺体だ
数多の瓦礫の下敷きになっていたが、辛うじて骨は残っていた
「ジャムたくさん持ってきたぞ」
遺体は元々あったAのお墓へと埋葬された
今はそのお墓へジャミルと一緒に来ている
「それから花も」
ネリネという花を墓前に置く
妹の誕生花だ
リリアに倣って、俺も妹が生まれた日にちなんだ花を贈ることにした
「花言葉は "また会う日を楽しみに"」
また巡り会える日まで、さよならだ
「白状する」
ジャミルが俺の隣に腰を下ろす
「何をだ」
問うとジャミルはなんて事ないように続けた
「俺はAが好きだった」
「…………へ」
「あいつも俺の事が好きだった。両想いだ」
「ま、まて」
突然の告白に頭が混乱した
待て、俺はそんなこと聞いてない！
「彼女には宴の時に想いを告げた……妹を取ってすまないな、義兄さん」
「うそだ」
ニヒルに笑うジャミルに俺は頭を抱えるのであった
A
それは熱砂を生きた華の名
とうに炎天へと還った生命の名前
「おかえり、A」
もう、自分の名前を忘れるなよ
兄ちゃんとの約束だ!
Fin
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
