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No.38 ページ46

魔法の絨毯に身を任せ、この広い世界へと兄と二人きりで飛び出す



大空

雲は美しく、頬を切る風は体を透き通る



「迎えが遅くなってごめんな」

『そんなことありませぬ……また貴方に会えて、此方は幸せ者です』

「あぁ、俺もだ」



星空

目が絡む程の壮大な空の海


煌めく星はダイヤモンドのよう

まるで此方達の再会を祝福するように輝いている



「兄ちゃんにお前の居場所を教えてくれ。お前が最期を迎えた場所を」


お前を見つけ出したいと兄さまが此方の頬に触れようとする


けれど幽霊に触れることは出来ない

兄さまの指が頬を通り抜ける




哀しそうに兄が腕を下ろした



その時






「兄妹の再会を祝して、私からこれを」


此方の先輩の少女が遠くから魔法を飛ばしてきた

キラキラと輝く粉が此方を包む


すると此方の体が段々と肉を持ち始める





「ありがとうグレイ!」

『ありがとうございます!先輩!』


理論は分からない

けど彼女なら幽霊に実体を与える事も可能なんだろう


だって世界の危機を救った、英雄なのだから





『アバブア…アバブアです、兄さま』


此方は兄さまに向き直るとそう言った




「アバブア……そこがお前の眠る場所なんだな?」

『はい。その国の僻地へと、此方の遺体は打ち捨てられました』


骨になった今も尚、そのゴミ山の中で此方は独り眠っていたのだ




「必ず見つけ出すよ……約束だ」

『はい、約束です』



小指と小指を絡める





『お墓にはお花を供えてくれますか』

「もちろんだ」

『それからジャムも!』

「お前好きだったもんなぁ……木苺、それからイチジクのジャム…沢山持って行ってやるな!」

『はい!』


過去には戻れない。だから二人で明日を見つめたい


まるで流れ星のように二人は空を駆けた









「グレイ〜〜!!」

「ぜんばァァい!!」


地上へ兄さまと戻ると、一人の少女に複数の人間がしがみついて泣き喚くというカオスが広がっていた



「皆さん…私の死を悼んでくれるのは嬉しいですけど、夜明けにはまたお別れですよ。分かってます?」

「グレイ〜ッ」

妖精を撫でる彼女の目が仕方ないなと細められる




「蓋を開けてみればグレイの独壇場だったな。デウス・エクス・マキナとはこの事」

「なんでアンタが誇らしげなのよ」

「俺の妹だぞ。自慢するだろ」

「グレイの兄ちゃん!生きてたんだな!」

「死んでるよ!ブラックジョーク言わせんな!」



笑い声が夜の空へと響いた

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くらげ - コメント失礼します!2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです!次回作が作られたら速攻で見ます!これからも頑張ってください!! (12月3日 10時) (レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します!全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します!!この前の小説も今回もとても素敵なお話でした!初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください! (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します!!!!!とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりです‪wこれからも投稿頑張ってください!応援してます! (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ニノココ | 作成日時:2020年12月25日 18時

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