No.33 ページ39
(カリムside)
「グレイ･ロカストゲート。贖罪を果たしに馳せ参じました
…お久しぶりです、先輩」
緑の閃光が辺りを包んだと思ったその次の瞬間
目を開けるとそこには可愛らしいワンピースに身を包んだグレイの姿が
「グレイ…」
リリアを筆頭に監督生やヴィルが涙を浮かべながら彼女に近寄る
だが
「と、グレイの兄だ」
一人の男がグレイに抱きつこうとしたリリアの頭を鷲掴みにした
彼女の兄貴だ
「…なんでアンタがいんのよ」
「なんだよ、俺がいて驚いたか？そのガラクタは俺が作ったんだから居てもおかしくねぇだろ」
思わぬ人物の登場に皆があんぐりと口を開ける
「…先輩」
懐かしいグレイの声にジワと涙が滲んだ
「先輩なら見つけてくれると信じていました。皆さんのお顔も見れて嬉しいです」
でも時間が無い、と彼女は続ける
「私達は亡霊。生者が垣間見る、ひと時の夢
…こうして肉体を持って顕現してますけど、それも夜明けまでです」
「日が昇ると同時に俺たちは消える。それまでに決着つけるぞ」
兄妹が巨大な球体を見上げて言った
「おい」
不意に兄の方が座り込む俺を見下ろして不機嫌そうに呼んだ
「カリム･アルアジーム。てめぇいつまですっ転がってんだ」
「え…」
「兄貴なら立て」
真剣な眼差しにたじろぐ
その視線は俺を咎めているようにも見えた
「兄貴なら妹を助けろ。お前は俺と違って優しい兄貴なんだろ。なら立て。立って妹を守れ」
俺に"兄"を語らせてんじゃねぇよ、とぶつくさ文句を言うのを、隣でグレイがくすくすと笑っている
「…ま、もれって言っても…厄災は滅ぼさなきゃなんねーんだろ…」
なら、器である妹は葬らなければならない
守るだなんてそんなこと…
「厄災は討ち滅ぼすべきものです
でもそれには妹さんは含まれていません」
彼女は巻き込まれただけです、とグレイは続ける
「彼女に取り付く厄災二柱。奴らを妹さんから引き剥がしましょう」
「そんなの、どうやって」
無理だ、と頭を振る
「毒を以て毒を制すように、厄災には厄災をぶつけるんです
私達が道を拓きます。アジーム君、貴方は走って。走って、妹さんの名前を呼んであげてください」
「名前…」
「妹さんは妹さんである、とはっきり教えてあげるんです。彼女は厄災なんかじゃないって」
妹さんは任せます。厄災は私がどうにかしますから
グレイの背中は頼もしさが滲み出ていた
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くらげ - コメント失礼します！2シリーズ続いて読みました。なんか伏線とか伏線回収とか綺麗すぎて五芳星とか厄災とかもうほんとにすごかったです！次回作が作られたら速攻で見ます！これからも頑張ってください！！ (12月3日 10時) (
レス) @page50 id: 09404ca91f (このIDを非表示/違反報告)
サカ - 初コメ失礼します！全部一気読みしてしまいました。すごく素敵な物語だと思います!!!!今まで読んだ中で1番好きです (2023年1月22日 22時) (レス) @page50 id: 0270587d36 (このIDを非表示/違反報告)
やぎ - 初コメ失礼します！！この前の小説も今回もとても素敵なお話でした！初めて夢小説で泣きました(T ^ T)これからも更新頑張ってください！ (2022年9月25日 12時) (レス) @page50 id: c3ead30411 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫(プロフ) - 初コメ失礼します！！！！！とりあえず神作をありがとうございます:( ;´ཫ`;):シリーズ一気読みして何度泣いたことか…感動やばいですコレ…こんなに泣いたのは久しぶりですwこれからも投稿頑張ってください！応援してます！ (2021年11月12日 13時) (レス) @page50 id: d86b6fe909 (このIDを非表示/違反報告)
次亜鉛素酸 - 一気読みを今更させていただきました。伏線やら何やらもう神ですね(語彙力)もうコメントをご覧になっていないと思いますが、素晴らしい作品をありがとうございました。 (2021年10月26日 1時) (レス) @page50 id: 1c5b1c4456 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年12月25日 18時
