第299夜 ページ16
(シリウスside)
『うちの父様がまた何かしたの』
Jr.が呆れたようにそう呟いた
自分の指の方が気になるのか、首を抑えられているというのに気怠そうに指先を弄っている
その姿がまた私を苛立たせた
わざと煽っているのではと疑うほど、こいつは私に対して不遜な態度をとり続けた
「お前の父親のせいでハリーが大変な目にあったんだぞ。ハリーだけじゃない、マグルにも危険が及んだ」
『へぇ』
どうでもよさそうな
心底興味がないといった声でJr.は呟いた
『それで？』
……やはりこいつはヘルエレガルの人間だ
人を人とも思わない冷たい血が流れている…
怒りで腕に込める力を増やそうとした
その時
＿＿＿スッ
流れるような動作だった
「…なんのつもりだ」
ボロボロの真っ赤な指が、私の腕にそっと触れてきたのだ
爪の割れた指先
血は、乾いている
『お喋りはおわり？』
その白くしなやかな指が私の腕を擽るようにするすると滑った
『…ね、ブラックさん…』
震えた声
吐き出された吐息は熱かった
気味の悪さと違和感に眉を寄せる
『…あんまり意地悪しないでよ……そんなに虐められると、僕…』
俯きがちだった顔が上げられて、前髪から蒼い瞳が覗いた
「……貴様…」
そこでようやく、私は気付く
『しかえしに、ころしたく、なっちゃうでしょ』
＿＿＿＿こいつは、狂っている
「ッ…」
命の危機を感じた喉がヒュッと虚空を呑む
私は勢いよく後退し、理性の欠如した獣から距離を取った
『にげないでよ
ほら、ぼくは魔法使えないから、大丈夫だよ』
サッと杖を取り出す
相手は丸腰、なんなら魔力すら封じられているというのに、私は杖を構えずにはいられなかった
それほどこいつの狂気はおぞましかった
ただ純粋に狂っているだけの少年に腹の底から恐怖した
『せ、せっかくさぁ、頑張って抑えようとしてたのに…ブラックさん意地悪、するんだもん。ぼ、くの中の泥が、殺れ、って。ころしちゃえって…』
ブツブツと喋る奴の目は完全にイカれている
『ね、一本で我慢すルから…腕…足でもイイよ…捥いでいいよね？
目ん玉だったら一個と半分…、左目は二つにきって、余った半分は、ちゃンと返すカら…』
仕方ない、と私は口を開いた
呪文を唱える
その寸前
「何を、している…！」
黒い影が私の横を過ぎていった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
