第296夜 ページ13
(セドリックside)
「A、手を見せて」
ルーピン先生が窘めるようにそう言った
膝をつき下から覗き込んでAの顔を窺うが、彼が僕たちに気付いた様子はなく目も合わない
ガリガリ
ガリガリガリガリ
耐えるように、気を紛らわすように細くしなやかな指が床を引っ掻く
乾燥して割れた床材が掻く度にAの指を傷つけた
「だいぶ精神がやられているな…セブルスが薬を持ってくるのは確か」
「明日です」
「それまで何も起きないといいんだが」
覗き込んだ顔は青白く、目の下には薄くクマが広がっている
日に日に彼が彼でなくなるのを、僕は肌で感じていた
全く減ってない水差しを交換すると僕らは包帯などを取りに一旦部屋を後にすることにした
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ウィーズリー家やハーマイオニーと合流した騎士団はそれまでと比べようがない程賑やかだった
ウィーズリー家がユニークで温かい人達だったのも騎士団が明るくなった大きな要因の一つだ
「ロン！ちゃんと野菜も食べなくちゃ」
「ハーマイオニーは僕のママですか〜」
「なっ…！」
「フレッド、ソース取って」
「残念、俺はジョージです」
「一々嘘つかないでよ、面倒臭いわね」
「「ノリ悪いぞジニー」」
「お前たち！食事中に騒がないの！」
"食事はみんな一緒に取る"
自然とそのルールが出来上がってからというもの、毎食毎食まるで小規模なパーティのように賑わった
子供たちの無邪気な笑い声に大人達も自然と笑みが漏れる
楽しかった
暗い未来が待っていると分かっていても、皆といる時はそれを忘れられる程に
ただ一つ気がかりだったのは
「(A大丈夫かな…)」
一人で闘う友人のこと
どれほど温かく、楽しくても
一度たりとも彼がその場面に立ち合うことはなかった
「セドリックも、どんどんおかわりしてね」
「ぜひ」
ここでAが楽しそうに食事する光景を思い浮かべられない自分に、一番腹が立った
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,
夕食を終えると僕は真っ先に彼のいる4階へと足を運んだ
だが、部屋に辿り着く前に僕は驚いて足を止めることになる
「A、こんな所でどうしたんだい…」
部屋から出ない筈のAが4階へと続く階段の途中で膝を抱えていたのだ
『……内緒にしてて』
くぐもった声が懇願する
僕は弾かれた様に頷く他なかった
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雪乃 - 面白すぎて一気に読んでしまいました…！！話の展開にとてもワクワクしてます！！更新応援してます！ (2021年12月17日 0時) (
レス) id: c79f44231f (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - アロンさん» ありがとうございます…(T_T) 更新頑張ります！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 卵のたまごさん» ありがとおぉおおおぉおお！！！！ (2021年12月15日 4時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - めちゃくちゃおもしろいです！！更新待ってます！頑張ってください！ (2021年12月12日 19時) (レス) id: ed0e3e5242 (このIDを非表示/違反報告)
卵のたまご(プロフ) - 好きだぁぁぁぁぁぁぁ…！！！ (2021年12月7日 22時) (レス) id: d5144cc3f8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2021年9月12日 16時
