第212夜 ページ26
翌日の土曜日は、代表選手を選定する炎のゴブレットのおかげでいつも以上に城は騒がしかった
誰それが名前を入れた、とか。あの寮のアイツが自薦しただとか
はっきり言って誰が代表選手に選ばれようと興味はない
それよりも僕は課された宿題や家業の手伝い、それから久々に会った婚約者の相手で手一杯だ
……だと言うのに
「A！A！」
「老け薬飲めば完璧だよな！？成功するよな！？」
『はぁ……するする。双子ってば天才〜』
朝から元気に絡むのは毎度お馴染みのウィーズリーの双子共
二人は数ヶ月の誤差で代表選手の候補から除外されたのが納得がいかないらしく、執拗い位に僕に助言を求めてきた
これからまた仕事があると言うのに…
「おいおい、適当言うなよ」
不貞腐れて文句を垂れるフレッドに「そうだそうだ」とジョージが同調した
僕達の周りで聞き耳をたてている"あわよくば"を狙った連中も唾を飲み込む
バレてないとでも思ってるのか
『いいや？案外上手い作戦だと思うけど？』
微笑を口角に浮かべる
僕は清々しい笑顔で二人にGOサインを出す
すると興奮と喜色を全面に表して双子達が目を合わせた
そして自分の名前が書かれた紙切れを手に、小瓶から透明な液体を少し喉に流し込むとそのままの勢いで炎のゴブレットに向かって走って行った
口も八丁なら手も八丁だな、あの二人は
その後の展開は目に見えているので、これ以上巻き込まれないようにと、僕は笑いを噛み殺してその場を後にした
.
.
「ヘルエレガル、課題の量を減らしましょうか？」
そう言われたのは帰城早々に訪れた大広間での事だ
ちょうど夕食時らしく、他校生を交えての歓談に誰しも和気藹々としている
どんちゃん騒ぎをバックに、僕は発言の主マクゴナガル先生にレポートを手渡しながら答えた
『なんで？そんなに大変じゃないよ』
嘘だ。毎日課題に追われてる
授業に出ない分宿題の量は膨大なのだ
寝る間も休日も返上して取り組まないと家業との両立は厳しく、疲労が溜まっている
それでもプライドが弱音を吐くのを許さない
「…そうですか。なら結構です」
諦めて息を零す先生に小さく『ありがとう』と言うと、それまで静観していた校長が口を開いた
「ところで、最近やけにフレンチが食卓に並ぶのは君の仕業かね？」
テリーヌを口に運んで先生が尋ねる
僕はそれに対して片目を閉じて得意げに微笑んだ
『おもてなし、だよ』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 985人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
