第27夜 ページ29
12月も半ば
暖炉の火も消えてしまった霜降る朝は、いつも以上に億劫だった
窓の外に広がる白銀の世界に息を零すと、雪のように白い息吹が儚く霧散した
床に足を着き、寒さに身を震わせながら制服に着替えていく
入学当時と変わらず綺麗なままの制服に、自分がどれだけ着てないのかを実感し、笑った
最後にローブを纏い、壁に貼ってある時間割をジッと見つめる
『…スネイプ先生』
あの日以来、先生は時間割を渡しに来なくなってしまった
いや、時間割はちゃんと届いているのだが、部屋に入って手渡して来ることが無くなってしまったのだ
ここ一ヶ月は、週明けになって扉を開くと時間割が浮遊しているだけで、先生の姿は何処にも見当たらなかった
気まぐれのように僕の部屋に訪れて、小言を零す事も無い
…それが少し、淋しいと思う
『…よし』
気を引き締めて、僕は部屋の外へと一歩を踏み出した
．
．
「では、出席をとる」
久々に訪れた地下牢は、寒さのせいもあっていつも以上に厳かに感じた
先生は、珍しく最初からいる僕に気付いているだろうに、ちっとも顔を合わせてはくれなかった
…自業自得って、分かってるんだけどさ
「＿＿＿＿A･ヘルエレガル」
『はい』
僕が返事をすると、やっと先生は視線をチラリと寄越したが、それだけだった
「では授業を始める
今日は＿＿＿＿ 」
そんな先生の様子に、僕のやる気も何処かへ飛んで行ってしまった
『先生、僕お茶したいな』
授業終わり、皆が出て行ったのを見計らって先生に声を掛けるが、先生は「屋敷しもべに頼みたまえ」と言って取り合ってくれなかった
『僕は先生が淹れたお茶が飲みたいの』
僕があの手この手で構ってもらおうと言葉を総動員させても、先生は「我輩は忙しい」と言うだけでまともに相手にしてくれない
『ねぇ、まだ根に持ってるの？』
遂に不貞腐れた棘のある僕の言葉に、先生はやはり振り返る事無く言い放った
「いい加減にしたまえ、ヘルエレガル」
ハッキリとした拒絶が僕の鼓膜を震わせる
いつもなんだかんだで僕に優しかった先生の、拒絶
改めて自分のやってしまった事を、思い知らされた
『……ごめんなさい、先生』
これ以上はもう、何も言葉が出てこなかった
背を向けて遠ざかる
先生は何も言わない
僕の"休暇前に仲直り作戦"は、ここに幕を閉じた
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一ノ瀬 潤(プロフ) - 深掘りしたやつ公開範囲制限されたのですね😭見れなくなって残念です (6月14日 22時) (
レス) id: de4baf91a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - はぁ⁉︎めちゃくちゃ好きなんですが~⁉︎読み始めたばかりなのですが、応援してます！！！ (2023年4月17日 21時) (レス) @page2 id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
あまおうよりとちおとめの方が好き(プロフ) - 主人公の塩がちょうどいいくらいで好き (2023年2月2日 23時) (レス) @page27 id: 98a18d93d3 (このIDを非表示/違反報告)
Web版さん - この神作品を今の今まで知らなかったｯ！！もう最高です！主人公くんの心境とかの変化がゆっくり変わっていてとても読みやすいです！ あと「作者様って本派の人だｯ！」ってことに気づいてとても嬉しかったです！これからゆっくりではありますが一気読みしてきます！！ (2021年9月23日 21時) (レス) @page50 id: 902e47dacc (このIDを非表示/違反報告)
ネココロネ - こういう作品、ほんといいてすよね！もう、全部一気読みしてしまいました！ (2021年2月19日 7時) (レス) id: 58abb9e774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2019年1月24日 23時
