甘い囁き ページ8
「っ、」
冷たい手が私の喉に触れて10分ほど経った。
対立している勝己と敵は戦う訳じゃなく睨み合う
「個性のせいで人生めちゃくちゃなんだろ？」
「えっ…」
敵からの思いがけない言葉に驚きを隠せない
「国から守ってもらう筈の個性の癖に
親に売られて殴られたりされてたんだってな？」
「なんで…し、って…」
「世の中にはAの個性だけを必要としてる奴は多いだろうな」
「……」
何故知っているのかは私にもわからない。
でも、本当の事を他人から聞くのはとても辛かった
目に溜まった涙が落ちる…
石になって落ちる
そんな私の目を塞いで死柄木が囁いた。
「俺達が必要としているのは個性じゃない
A自身が必要だ」
「私、自身？」
「あぁ」
敵だと分かっているのに
その言葉を信用しちゃダメだとわかっているのに
『私自身』という言葉に引き込まれた。
「こっちにはAに酷い事をする奴はいない
むしろ歓迎してくれるだろうな」
言葉巧みに勧誘する死柄木は手慣れているのか
目から手を離し、こぼれ落ちる前に涙を拭った。
「でも、いつかヒーローが助けてくれる…」
「それをずっと願ったんだろ？
なのに何故ヒーローは来ないんだろうな」
彼の言う通りだ。
私は個性が発現してからずっと助けを待っていた
だけど、逃げ出す先日まで誰1人私を助けてくれなかったのだ。
「私、ついて「うわぁぁぁぁぁっ！？」
出久くんが勢いよく通り過ぎていくのを見てハッと我に返ることが出来た。
「飛んで行くなんて酷いよ！」
「今それどころじゃねぇわ！！」
勝己の視線の先に私を見据えて顔が青くなっていく
「え、誰？！」
「はぁー…また餓鬼かよ…」
私から手を離し勝己と出久くんに向き合う。
これはヤバイやつだ…って誰が見てもわかる
「黒霧は竜使いの餓鬼、俺は地味な奴」
「わかりました」
そう言って走り出した。
私の中で甘く囁かれた言葉は消えて事態を飲み込む
(目の前で勝己と出久くんが敵と戦ってて
でも、敵が狙ってるのは私で？あれ、個性が…)
既に私の頭はパンク寸前で何を考えてもこんがらがるだけだった。
地面に落ちる石を見つめても、何も思いつかない
ただの使えない石を握りしめていたんだ。
(結局…お金を稼ぐためだけの個性なんだ)
「もう……やめてよ！！」
叫びながら皆の方へ石を投げたら…
太陽の光に反射しながら割れてしまった。
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猫太(プロフ) - 黒猫さん» ありがとうございます！出来るだけ早く更新できるように頑張ります！ (2017年12月28日 11時) (
レス) id: 89a089bb8f (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 更新楽しみに待ってます(*^_^*) (2017年12月26日 22時) (レス) id: 04cf0d7a4d (このIDを非表示/違反報告)
猫太(プロフ) - りんご飴さん» ありがとうございます！お楽しみ頂けるように頑張ります！ (2017年12月24日 16時) (レス) id: 89a089bb8f (このIDを非表示/違反報告)
りんご飴 - 凄いです！ＥDのやつですね！続き楽しみに待ってます！ (2017年12月24日 15時) (レス) id: 65eac10195 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：猫太 | 作成日時：2017年12月21日 13時
