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宮舘side
Aのステージが始まる。
全員がテレビの前に集結して
画面の向こうのAの様子を見守るのは不安だから。
アナ「雪白Aさんで、『Let's smile』です。」
アナウンサーの方のコールで、曲が始まる。
『ん...？』
佐「あれ、遅れた...？」
照「ん。ちょっと遅れたな...」
普通の人だったら分からないミスだろうけど
ずっと一緒に踊ってきている俺らには分かる。
クリック音が入るから聞こえ出しとともに
動き出せるはずなのに、出だしが少し遅れていた。
佐「慣れていないから、出だしを間違えただけかな？」
照「うん。多分そうだよ。」
なんて言っていたのに、異変はその後も...
翔「あれ、歌い出しがずれたな...」
完全に生歌。
だから少しのミスでもバレてしまう。
蓮「ん？」
康「なんかおかしい。どうしたんやろ...」
ラウ「サビがズレズレじゃん...」
サビになるにつれて、ダンスも歌もズレてくる。
深「イヤモニだな...」
ラウ「え...？」
ふっかの言う通り
Aは、しきりにイヤモニを押しつけていた。
だけど上手く音が拾えないのか
結局、サビ途中でイヤモニを外していて...
そこまで広くない会場だけど
反響しやすくて、音が拾いにくい環境だったから
そのままズレが大きくなっていく。
佐「うわ...」
照「キツイな...」
『歌い慣れていないからカバーしきれないか...』
何十回も、何百回も歌っている曲なら
何となくでも音が取れたりするけど...
新曲だから難しいよな。
ラウ「Aちゃん...」
どれだけ大きなミスでも笑顔でカバーしてきたAが
珍しく泣きそうな顔をしている。
翔「...ちょっと舞台袖に行ってこようかな。」
齋藤「スタッフさんから不用意な行動はなるべく控えて欲しいと言われていまして...
時田さんが側にいると思うので...」
そんなことを言われちゃうと行くに行けなくて
諦めたように座り直した翔太だけど...
貧乏ゆすりが酷くなったような気がした。
ラウ「頑張れ...」
なんとか最後のポーズを決めきったAは
カメラの向こうの視聴者に向かって深く頭を下げた。
MC「雪白さん、ありがとうございました。
機材の不具合で大変ご迷惑をお掛けしました。
申し訳ありませんでした。」
アナウンサーさんがそう言うけど
画面の向こうのAはまだ頭を下げていた。
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作者名：みるくてぃー
| 作成日時：2021年10月28日 19時
