限界を超えた先に待ち受けるもの ページ41
康二side
サビに入ったあたりから
どうにもAの様子がおかしくて...
最後の方は目に涙をいっぱい溜めていて
自分の感情すらコントロール効かなくなっちゃったんだって、心配で仕方なかった。
なんとか曲が終わって
いつもみたいに立ち上がって頭を下げる中
横目に入ったAは、もう立ち上がる元気すらなさそうやった。
スタッフ「ありがとうございました！
ステージ下手側に降りてください。
次の方、上手側からステージに入ります。」
感染対策で、一方通行が義務付けられとる会場。
はよ移動せんとあかんから
すぐにAに駆け寄って、身体を抱き起こした。
阿「大丈夫？こっち支えるから。」
阿部ちゃんと一緒に、支えて立ち上がらせる。
そんなに力のない俺らでも
脱力している身体を簡単に抱き起こせるほど
Aは痩せてしまっていた。
阿「ステージを降りちゃおう。」
『うん。』
いち早くAを寝かせてやりたかった俺らは
挨拶もそこそこに楽屋に向かって歩き始めた。
『背中に乗せちゃう？』
阿「康二の？」
『うん。こんだけ軽かったら余裕やで。』
Aは何の反応も示さなかった。
阿「うん。乗せちゃおう。」
阿部ちゃんと、後ろから来ためめと協力して
俺の背中にAを乗せて楽屋へ急ぐ。
完全に脱力しきっとるはずやのに
全然重くなくて、ものすごく心配になった。
.
.
.
阿「ソファに寝かせちゃおうか。」
蓮「ブランケットを持ってくる。」
『A、頑張ったなぁ。
ちゃんと最後まで出来ていたから安心してええよ。』
目からポロポロと涙を流し続けるだけで
ほとんど反応を示さないAに不安が高まる。
翔「...時田さん。」
時田「うん。この後のコラボは9人で出演してもらう。
Aは今すぐ病院に連れて行くから。
Aの荷物とかは全部こっちにある？」
蓮「そこにあります。」
時田「ん、ありがとう。
照、もう少ししたらAをおぶって車まで連れてこれるか？俺はスタッフさんに挨拶してから、車の座席を倒したりしてくるから。」
照「分かりました。」
バタバタと楽屋を出て行く準備を始める時田さんを
横目にAの汗と涙を拭っていると
これまで無反応だったAの口が小さく動いた。
「...メ..」
『ん？なに？』
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作者名：みるくてぃー
| 作成日時：2021年10月28日 19時
