10人目は頑張り屋さん22 (ページ29)

今日:8 hit、昨日:10 hit、合計:549,145 hit

. ページ29

岸優太side

なかなか落ち着かない状況に焦り始めた頃...

髙橋「タオル持ってきたよ！」

俺らのマネージャーにタオルを貰いに行っていた
海人が猛ダッシュで戻ってくる。

海人の息はめちゃくちゃ上がっていて
それだけ急いでくれたんだと思うと
有難い気持ちになった。

『ありがとう。A、口元にタオルを当てるよ。』

海人が持ってきてくれたタオルを口元に当てて
ゆっくり声をかけながら背中を摩る。

『大丈夫。
ちゃんと呼吸は出来ているから焦らないよ。』

普段はポンコツだって言われたって
こういうことはちゃんと出来る。

だってJr.の頃は、年齢層も基礎体力もバラバラだから
レッスンの厳しさに度々過呼吸になる子もいる。

過呼吸の対応は、身体に染み付いていた。

『大丈夫。
もうすぐマネージャーさんが来てくれるからね。』

根気よく声をかけ続けると、本当に少しずつだけど
呼吸が落ち着いてきたのを感じる。

平野「大丈夫だから、ゆっくり息するよ。」

.

.
『...よし、落ち着いたね。』

完全に落ち着いたのは、歌唱の2分前。

全身が脱力して、紫耀に寄りかかっているAは
どこからどう見てもステージに立てるようには思えなかった。

『今、神宮寺と廉がマネージャーさんを呼びに行っているからね。』

「....大丈夫、出来る。」

平野「は？」

髙橋「いくらなんでも...」

「...2分前にキャンセルなんて有り得ない。
SnowManの名前に泥を塗っちゃう..っ...」

『気持ちはわかるけど、絶対に無理だって。』

「...大丈夫。いける。」

『お前さぁ！』

スタッフ「雪白さん。お願いします。」

「はい、今行きます。
...迷惑かけてごめん。でも大丈夫だから。」

そう言って微笑んだAは
ボロボロの身体を引きずって、ステージに出ていった

『くそっ...』

その姿に胸がギューっと苦しくなった。