10人目は頑張り屋さん22 (ページ23)

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切れた心の綱ページ23

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7月14日。

FNS歌謡祭当日。

スタッフ「雪白さんの楽屋は332です。
新型コロナウイルス感染対策のため、楽屋外への不要な外出はお控えください。
また他のアーティストさんへの楽屋挨拶等もお控えいただきますよう、ご協力お願いします。」

タレントクロークで楽屋番号を言われて
指定の楽屋に向かうと、楽屋貼りには
"雪白A様" の文字。

SnowManの楽屋とは別なんだ。
そう思ったら、ものすごく不安になった。

時田さんは私個人のマネージャーさんじゃないから
SnowManのチェックや、スタッフさんへの挨拶回りにも行かないといけない。

楽屋に入るタイミングで別れたから
今は正真正銘の1人ぼっちだった。

『怖い......』

途端に心臓が暴れ出す。

恐怖。不安。孤独。

胸が押し潰されそうだった。

机の上に、乱暴に鞄を置いて、ガサガサと中を漁る。

鞄の中から取り出したのは
一昨日もらった新たな薬。

睡眠薬は今は飲めないけれど
精神安定剤だったら飲んでも大丈夫だよね...？

楽屋に用意してもらった水を手に取り
6錠の薬を一気に流し込んだ。

ODで緊急搬送された時
メンバーの泣き腫らした顔を見て
もう二度としないって決めたはずなのに...

一昨日、処方してもらってから
1回1錠、1日3回飲むように指示されている薬を
1回4錠、1日最低3回は飲んでいる。

ODを回避するためにみんなが管理してくれているのに
私はその気持ちすら裏切って薬に依存しているんだ。

最低だよね。

いけないことをしているんだって
ちゃんと分かっているの。

だけど、薬が入ると少しだけ気持ちが落ち着く気がして、不安から逃れられるような気がして、どうしてもやめられなかった。

『......みんなに会いたいな。』

メンバーを裏切っているというのに
ふと、そんなふうに思った。

今日は20時台最初にまずは個人で「Let's smile」
21時台最後にSnowManとして「HELLO HELLO」
22時台最後にはエンディングとして
BEGINさん、明石家さんまと一緒に「笑顔のまんま」を歌わせていただく予定だから、まだ時間はある。

「Let's smile」の衣装に着替えた後に
空の薬シートを鞄の中に戻して
ふらふらと楽屋を出たところまでは覚えているんだけど...

その後のことは、ほとんど覚えていない。