@ 半壊した心 ページ6
『ここに私の仕事仲間がいるの。』
水着を着て風に飛ばされそうな麦わら帽子を抑えながら言う。
半分は情報収集、半分は遊び。
それでも彼はまだ納得していないような顔をした。
「…俺着いて来る必要ありました?」
アンドロイドは泳げないからか砂場で縮こまっている。ちょっと滑稽。
事情を話すには当事者が必要でしょ?と伝えると不満そうな顔で相槌を打たれた。
そんなに嫌なら抵抗すればよかったのに。
心の中でそう思いながら友人が働く海の家、「Marin Rader」に向かって歩き出す。
それに気づいたのか彼も私の後を追って歩き始めた。
『ここだよ。』
木製で出来た大きな看板には店名が書いてあり、ところどころ青いペンキが塗ってある。
小さく立てられた三角の黒板ボードには今日のおすすめと落書きが。
近くの海で飛沫した水で濡れた扉をゆっくりと押す。
中には10人ほどの客と5人の店員が。
「何名さま…って、A⁉」
青色に白の縦ストライプが入ったエプロンを下げ、夏だというのにニット帽を被った男が私達を見てうるさい声を上げる。
『久しぶり。とりあえず“いつものパンケーキ”お願いね。』
「えぇ…仕事中なんだけど……」
『いいじゃん別に。』
「はいはい、来るなら早く来て。」
わかりやすく嫌な顔をして私を案内する。
案内された厨房に入ると青く光るスイッチを押して何処からか隠し扉を出現させた。
手に持っていたメニュー表を机に置いて、ごゆっくりと乱暴に言う彼に少し笑みが溢れる。
「あ、聞き忘れてた。誰がいい?」
『じゃあ近海さんかなぁ。』
「今日非番。」
『嘘⁉じゃあレウで。』
「ん〜。」
話し終えてアンドロイドの彼を見るとずっと困惑したような顔をしていた。
それと少し引いているような目で私を見てきた。ヤメテ。
家具として設置されている青い椅子に座って彼を手招きすると向かい合わせに座った。
それを確認して説明を始める。
『ここはマリンレーダーって言う店。表向きはね。』
「裏があるんですか?」
『そ。裏の名前はマリンラッダァ。情報屋だよ。』
彼の瞳が、波のように大きく揺らいだ。
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ぶーるどねーじゅ(プロフ) - 匿名かりんとうさん» わ〜!!めちゃくちゃ嬉しいですありがとうございます😭まさか作品を拝見させていただいている方に褒めていただけるとは…恐縮です😖💞返信遅れて申し訳ございません!更新頑張ります〜!! (2月15日 13時) (レス) id: ad6ee9d645 (このIDを非表示/違反報告)
匿名かりんとう(プロフ) - あまりにも自分の癖だったので、居ても立ってもいられず初コメ失礼致します...!自分がずっと見たいと思っていたこのパロを、強々語彙力&文章力で拝見することが出来て本当に幸せです😇これからの展開も楽しみに待っています🥰 (2月13日 23時) (レス) id: be6a96f604 (このIDを非表示/違反報告)
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