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『 事情聴取ってこんなにかかるもんなのか…… 』
色々と目暮さんと……
タカギさん?っていう男性警察官に聞かれて、
気付いたらもう18時を回っていた。
警察って大変なんだねぇ、
昼も夜もあっちこっち駆け回んないといけないんだから。
『 ……逢魔刻、か。そろそろかな。』
空は薄らと夕闇に包まれ始め、
呪霊たちが活発に動き始める時間。
つまり、私の始業時間でもある。
めんどくせ。
だって考えてもみろ?
昼間ですら特級の気配があった街ぞ?
私ひとりでやれってか?
クソッタレ。
『 行くか……まずは南に大きい気配が6。
次が東に3、北に7、西に4……パレードかな? 』
町全体の気配を探れば、
すぐにドデカい気配をいくつも見つけた。
特級には届かないにしろ、1級相当の気配が合計で20。
とんでもねぇなこの町。(再確認)
私はこっそりと裏路地に入り、
壁を蹴りながら一気にビルの屋上までかけ上る。
視界が開けたところで、
私の式神の中で1番大きいものを呼び出した。
ここで少々余分な説明をば。
私の狐の式神の中でも上位に入る力を持つものは、
人間の言葉を理解し、話すことが出来る。
私がいま呼び出した狐なんかは特に強く、
遥かな昔……3000年も生きていると言われていて、
〈 なんじゃ、随分と穢れた町よのう。
いつも以上の報酬はあるんじゃろうな? 〉
『 ……あとで油揚げのお店探してあげるから、それで。』
……こんな風に厚かましくなったりする。
管狐はみんないい子で可愛いのに、
この老いぼれた狐と来たら食べ物強請る気満々である。
可愛げがないネ。
〈 よかろう、引き受けた。乗るがよい。〉
『 まずは南、あのビル群の辺りかな。
非術師が見つける前に片付けちゃおう。』
〈 あい分かった。〉
それでもこうして言うことは聞いてくれる。
まぁ私も彼等がいないと呪いと戦えないし、
一応感謝はしてるけども。
油揚げの請求は程々にしていただきたいですな。
おかげで毎月私んとこの家計は火の車ですわ。
〈 あの六眼の小僧に払わせればよかろうて。〉
『 …………
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作者名:杠葉 | 作成日時:2021年7月15日 8時