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▽
「 なん、だ、これは…… 」
「 っ、う…… 」
凄まじい血液の臭いに、
俺も安室さんも思わず顔を顰めた。
彼女は顔にベッタリとついた血を拭い、
こちらに歩きながら淡々と話す。
俺たちが立ち竦んでいる間も、
彼女は何に動揺するわけでもなく飄々としていた。
「 さっきまで被害者だったモノ。
運がいいね2人とも、
私よりも先に来てたらこれに殺られてたよ？ 」
「 っ、！ 」
腕や足、人間のものとは思えない頭が、
血を流して転がっている。
腕の数が7本なのは何故だ、この人が1本隠したのか？
いやそもそも、被害者は4人も……
「 こーら、
「 わぁっ！？ 」
目の前に広がる惨状を凝視していると、
いつの間にすぐ傍に来ていた彼女の細い腕に
ひょいっと軽く抱き上げられた。
急に視線が高くなり、俺は少し慌てる。
「 お、お姉さん何するの！ 」
「 ここの空気は体に毒だ、すぐ出た方がいい。
早く出ないと、
「 それ、どういう…… 」
「 あぁほら………………
そう言った彼女は、俺を安室さんに預け、
再び鉄扇を構えて扉の方を見た。
ぐしゃり ぐしゃり
何か、肉が潰れるような音と、
鼻が捻じ曲がるほどキツい腐敗臭がする。
何かが、ここに近付いてきている事だけはわかった。
「 おねえ、さ 」
「 黙って、ボウヤ。音を立てないで。
お兄さん、坊やと一緒に舞台袖に隠れてて。」
「 で、も……あそこには、」
「 大丈夫、あれはもう死んでるから動かない。」
いいから早く、と急かされると、
安室さんは俺を抱きかかえたまま舞台へ走った。
やべぇ、この人超速い。
いや何となく知ってはいたけど。
俺と安室さんは舞台の幕に隠れて、
こっそりとあの女性の様子を伺うことにした。
直後、信じられないものがドアを突き破ってきた。
「 こﾞこﾞこﾞはﾞたﾞたﾞたﾞ立ﾞちﾞ入ﾞいﾞいﾞいﾞいﾞいﾞりﾞ禁ﾞ止ﾞしﾞしﾞしﾞしﾞしﾞたﾞよﾞぉﾞおﾞおﾞおﾞぉﾞおﾞ 」
「 ……悪いけど。
私の領域に立ち入ってきたアンタらは、
祓ってあげるしかないんだわ。
こっちには保護対象もいるしね。
…………ま、そういうわけだから、」
「 死んで 」
▽
続く (更新停止中)
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作者名：杠葉 | 作成日時：2021年7月15日 8時
