第三十八話 ページ40
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生徒会長であるゼノの開会宣言が終わり、今は理事長挨拶中。
「妾は長い話が嫌いじゃからのう、この交流会開会を祝してピアノを1曲皆に聞いてもらおうと思うておる」
あら、数年間一緒にいるけれど、この人がピアノ弾いてる所なんて見た事ないわね。
意外だわ。
なんて、次の瞬間その思考はストップ。
次の言葉で、会場中の視線が一斉に自分へと集まったのだ。
「だが生憎、妾はピアノを弾けぬ。
そこでだ。2年のクロエ・アルバートに演奏をお願いしておるのじゃ」
クロエ…？アルバート？？
はて、私意外にそんな名前の人いたかしら？
私じゃない、私じゃない。と何度も何度も唱えるけれど、現実とは無情なもので。
「これ、クロエ嬢。主の事じゃよ、なに私じゃないわ 見たいな顔をしておる」
あぁもう、何よこれ…。
「はようこっちへ来んか。安心せい、ピアノの準備は出来ておるぞ」
………そういう問題じゃないわ！！
何で！？何でこうなるの！
私、ピアノ弾くなんて今初めて知ったのよ？！
「これ、エドワード。お主クロエ嬢のパートナーであろう？ステージ前までエスコートせぬか」
止まることを知らない理事長の迷惑な爆弾発言。
隣にいる彼はあからさまに眉間に皺を寄せた。
しかし、もうどうしようも出来ないこの状況を察してからかそっと手が差し伸べられた。
その手にゆっくりと自分の手を重ねて、重い足取りのまま2人でステージへ向かう。
歩いている途中、笑いを堪えているゼノの姿を見て殴り飛ばしたくなった。
ステージに上がるのは私1人。
視線が痛いわ注目されてるわでとてつもない恥ずかしさを感じる。
『モーツァルト』
ピアノソナタ第3番第3楽曲
ボソリと耳打ちされた曲名。
突然言われたからと言って、幼い頃からずっと続けているピアノを弾けないはずもなく、演奏はちゃんと出来た。
出来たのだが、演奏が終わってからの拍手と視線が、それはそれは恥ずかしくて…。
穴があったら入りたいとは正しくこの事だろうと思う…。
そして、理事長挨拶は無事に？終わり、フリータイムへと移った。
「貴方ね、一体何がしたいのよ！」
「これ、そう目くじらを立てるでない。良い演奏じゃったぞ。」
「そういう問題じゃないわ！！」
他の生徒たちは楽しそうにパートナーや友達と話し始めた中。
怒って入るがまだ微かに頬に赤みを残しているクロエを見て、理事長は愉快そうに笑っている。
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