第十八話 ページ20
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職員室にたどり着いた頃には、次の授業の開始4分前だった。
慌ててドアをノックし、頼まれていたプリントを受け取りに行く。
職員室を出れば、普段は走ったりするなどはしたない事はしないのだが、今日ばかり許してほしい。そう思いながら廊下を全力疾走した。
授業が始まる30秒前辺り。
微かに肩で息をしながら教室に入っきた彼女は、教卓の上にプリントを置いた。
そして、自分の席へ少しばかり覚束無い足取りで向かい、椅子に座り込めば「はぁー……。」と長めの溜息を吐く。
唯でさえ運動が苦手な彼女はあの廊下を走るだでも疲れてしまう。
そしてなにより、体育の時間と体育祭の時以外運動はあまりしなかったので、元々の数少ない体力は更に減りってしまっている。
微かに乱れた髪を軽く整え、次の教科の準備を始めた時教科担の先生が入ってきた。
授業が始まってから数十分後。
ふと、意識が逸れて窓の方に視線を向けた。
変わらぬ薄暗い空。
今日はあまり星が出ていなかった。
けれどその代わりに見えるのは上限の月。
もうすぐで満月がくる。
そう思った瞬間、どっと疲れたを感じた。
満月の夜は吸血鬼達の吸血衝動が高ぶる日。
普段は花の蜜で抑えている分、この日の吸血鬼達の吸血衝動は半端ないのだ。
生贄である彼女達人間の中には、吸血鬼に自ら血を捧げる者もいれば、そうでない者もいる。
どちらかと言えば彼女は後者の方だ。
元々近寄り難い雰囲気を出しているが、その日はいつも以上にその雰囲気を出しているので、近寄ってくる者は少ない。
そして、その日に限って1人にならない様最大の注意を払っているのだ。
隙を作らないよう。
その日だけは十二分に注意を払って生活するのでとても疲れるのだが…___。
まぁ、吸血されるよりかマシだと考えている。
そんこんなに考えているうちに、あっという間に授業が終わってしまった。
慌てて書き漏らしている板書を書き写し、小さく溜息を零す。
次は教科担の先生に何もお願いされることなく、本を読もうと次の教科の準備をするついでに鞄から本を取り出した。
今読んでいる本は吸血鬼を題材にした、人間と織り成す恋愛ファンタジー。
この本の主人公である人間と、今の自分は似たような状況であるが、こんな恋愛する訳ない。
なんて思いつつも、次のページを捲ったのだった。
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