【H×H】マドンナリリーの花を君に贈る。２ (ページ6)

今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:14,191 hit

46 ページ6

．

「…なるほど、殺しても構わないくらいの屑だね。」

「だっろー！？」

どうやら、キルアが怒りをぶつけている相手は相当の屑らしかった。

勝ち星を稼ぎたいから知人を攫って脅すのはまだ良いとしよう。

そしてキルアが大人しく3つ分の勝利を譲ってあげる確約をして、それ以上は何もしないと約束。

しかし、その後にゴンまでもを脅し、更に3勝分稼ごうとしているらしい。

ゾルディック家は、『約束』や『契約』といったものを重んじる家だ。

暗殺というリスクを侵すこの稼業は何よりも信頼関係が大切にされる。

その信頼関係は、ひとつひとつの約束から作り上げていくものだ。

だからこそ、ゾルディック家は約束事に人一倍厳しい。

キルアもそんな教えを受け継いでいるからこそ、こんなに憤っている。

「…けどさ、殺したら今までの俺と一緒じゃん。」

「………脅せば良いんじゃない？」

「脅す？」

何も、敵を殺すのは身体的なものじゃなくても構わない。

敵意を叩き潰せば、こちらの勝ちだ。

「この間のキルアの『絶』は完璧だった。それを使いつつ、キルアの殺意をそのまま相手にぶつけてやればいい。」

「…脅し…あんまりやった事ないんだよな。」

「脅しが1番有効なのは、本気で相手がやるかもしれないと思わせる事。キルアはさっき、本当にその相手を殺そうと思っていたね。」

「うん。」

「それをソックリそのまま口にでも出してあげれば良いんだよ。」

これで少しは手助けになれただろうか。

私はゾルディック家の人間だ。本来なら、キルアを縛り付ける側。

だがあの時…キルアが私の腕の中で生まれて初めて目を開けた時、キルアには自分の選んだ道を進んで欲しいと思った。

人を殺したくないと言うなら、それでも良い。

キルアが願うなら、私は全力を尽くそう。

「…A兄、俺やってみる。」

「キルアなら出来ると思うよ。…もし失敗しても、殺したいのなら私に願いにおいで。」

「願わねーよ、そんなこと！でも、別の事でお願いがあるんだけど、いい？」

不安げにこちらを見上げたキルアに首を傾げる。

聞かなくたって、キルアの願いはなんでも叶えてきたというのに。

「…俺の試合観に来てよ。」

「来ないでって言われたって行く予定だったよ。」

「ほんと、A兄って俺のこと好きだよね。」

「ふふ、当たり前だね。」

…なんで私の弟はこんなに可愛いんだろう。