三十二柱 ページ32
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「…ご心配いただき、誠にありがとうございます」
「じゃあ、」
「ですが、それは出来かねます」
目が見開かれる。
私も、真っ直ぐに視線を返して口を開いた。
「私は、明日の話し合いに参加する義務があります」
「っなんで、ぼく、主にするならアナタがいい…！でも、死んだら、」
「…身に余るお言葉です。たしかに、明日行けば危険な目に合うのかもしれません」
「危険なんてものじゃない…！殺す気だよ、いち兄達は…っ本気なんだよ？」
形の良い眉を寄せ、訴えるように言い募られる。
しかし、首を縦に降ることはしなかった。
「心得ております。それでも、私は行かなければなりません」
「…なんで、」
「……お話しする予定ではなかったのですが」
ゆっくりとした動作で立ち上がり、部屋の中の押入れを開けた。
そこには、刀置台に飾られたふた振りの刀。
「五虎退…！それに、石切丸さん…？」
「…そうですか。こちらの刀は五虎退様、そして石切丸様と仰られるのですね」
「いつの間に鍛刀を…？」
首を傾げる乱 藤四郎様に、縮地を使えること、そしてそれを使って鍛刀部屋へ行ったことを告げる。
そうすれば、彼は驚愕の色を強く宿して目を見開いた。
「縮地…？そんな、一日二日で覚えられるものじゃ…」
「…今、私は明日に備えて結界を習得すべく動いていまして」
「……張れるの？」
「お恥ずかしながら、柔軟性を持たせる事に難航しております」
「普通のなら張れるってことでしょソレ…！」
ありえないよ、と言われるが出来てしまったものはしょうがないのだ。
「…それは一度置いておくとして、このふた振りどうしたいの？」
「彼らを、顕現したく思います。ですが、この本丸は本来全ての刀剣男士様方が揃っていたとこんのすけに聞きました。ということは、母屋にいらっしゃる神様方は二度目の会合にならせられます。その場合、思う所のある方も多くいらっしゃると思うのです」
「そうだろうね」
「それに私が勝手に鍛刀し、顕現して勢力をつければ、より一層貴方様方の私に対する不信感は高まっていくだけだと思っております。ですが、このまま本丸としての機能を果たさないのであれば、私が審神者を辞める事になります」
「アナタは、審神者でいたいの？」
「いえ、特に思い入れがあるわけではありません。ですが…私がここを辞めれば、貴方様方は刀解になります」
「…え？」
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2019年4月10日 21時
