十九柱 ページ19
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「今日は予定通り内番やろう」
「危険にございます」
「とはいっても、放置はしてられないだろうし。政府だって連絡を絶ったとはいえいつ来るかわからないし」
浴衣から着替え、離れを出る。
こんのすけも後ろからついてきているが、その表情は不安そうだ。
「母屋に近づかなければどうにでもなるよ。向こうだって、人間に近づきたいとは思わないだろうし。…私だって、まだ死ぬ気は無いからね」
「審神者様…」
…初めは馬だな。
母屋の方へ歩き出せば、右肩に少しの重みが加わる。
視線を移せば、こんのすけが乗っかっていた。
「私めも、お供させていただきます！」
「…ありがとう」
彼の頭を撫で、離れの結界が及ぶ領域から足を踏み出した。
一瞬目の前の景色が揺らぎ、背後を振り向けばそこに広がるのは鬱蒼とした森だった。
相変わらず、ファンタジーな光景だな。
「まずは井戸を浄化いたしましょう！」
「ああ、これかな？」
「はい。今はとても濁った水になっていますが、本来ならば飲むことも可能なのです」
霊気を流してくれとこんのすけに言われ、首を傾げながら井戸の淵に手を置く。
イメージとしては、腹の奥にある何層にもなった塊を解して指先に流すのだという。
目を瞑り、深く息を吐く。
腹の奥にある塊を…解す＿＿＿＿＿
「…ま、審神者様…ッ！！」
耳元でこんのすけの声が聞こえ、パチンッと意識が戻る。
慌てて辺りを見渡せば、あまりの変わりように絶句してしまった。
枯れ果てていた森は緑を取り戻し、ひび割れていた大地は瑞々しい草花を咲かせ。
ここにきたときには1匹も見なかった蝶があちらこちらに飛んでいた。
もしや、と思い井戸で水を汲む。
「光って…る？」
「審神者様の霊気を帯びた水でございます。穢れや厄を払ったり、植物の成長を促進する効果がございます」
「なにその魔法の水…」
こんのすけによると、解した霊気を私は手を伝って放出したのではなく身体中から思いっきり放出してしまったそうだ。
目の前にある水は、透き通り、日の光だけでは説明がつかないほどキラキラと輝いている。
…霊力、とやらの使い方が不器用すぎたって事でいいんだろうか。
それとも、回数を重ねればまともになるのか…。
「いきなりその量の霊気を放出すれば、疲れ果てるはずなのですが…」
「…水持って厩(うまや)行こう。次は気をつけるよ」
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2019年4月10日 21時
