物間 寧人 ページ9
．
「全然感じられないんだよ」
まるで演劇でもするかのように両手を広げて笑う物間。
それに眉を寄せて首を傾げた。
「…その話は今ここですべき話？」
ここは雄英の訓練場の一つだ。
その中でも高層ビル群が立ち並ぶエリアで、彼と私はその高層ビルの屋上に立っていた。
「ああ、そうだよ！ここでしか話せない話さ」
「まあ…いいけど。で、何が感じられないって？」
「君の愛だよ！君の愛が全く感じられないんだ！」
…は？
「今すぐここで証明してくれ！」
お願いだ、と叫ぶ声を聞きながら、遠くに視線をやる。
時々話の噛み合わない奴だとは思っていたが、ここまでとは。
「証明も何も、愛なんて無いんだけど」
明記しておこう。
私は目の前にいる物間と付き合った覚えはない。
「いいさ。口だけでならなんとでもいえるんだ」
フッと微笑んだ物間は、一歩一歩下がって行く。
フェンスなどはなく、落ちたら怪我は確実で下手したら死ぬ。
「…何やってんの」
「Aが愛してくれないのなら、僕は生きる価値がないからね」
飛び降りようと思って。
一瞬思考が停止する。
ハッと意識が戻った時にはもう、彼は屋上の淵に立っていた。
…本気？
コイツの個性はコピーだから飛行系の個性を複製してるんじゃ、
「Aを愛してる！僕は愛している君のためだったらこれくらいなんともないよ！」
いつもの邪気など感じさせないような満面の笑みを浮かべて地を蹴る物間。
血の気が引いて、頭が真っ白になる。
先ほどまで考えていた個性のことなど頭の中から抜け落ちた。
助けないと…！
手を伸ばして彼の手を掴む。
これでもヒーローになるために鍛えている。
少しの間なら人一人の体重を支えることだって可能だ。
「な、にやってんの…！早く、登って、よ！」
途切れ途切れになりながらそう叫ぶ。
屋上に引き上げて、息を整える。
腰が抜けてしまい、へたり込むように座った。
「やっぱり、」
ポツリと彼が言葉を零す。
その声は深く沈んでいて、怖かったと反省してくれたのだろうかと思った、ら。
「やっぱり、Aは僕を愛してくれていたんだね…！」
強く抱きしめられて息がつまる。
ズキズキと頭が痛むのは、色々なことがあったからか、目の前のコイツに対してか。
心底嬉しそうに笑いながら私を抱きしめる彼に言いたい。
…私はお前を愛した覚えが一切ない。
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零桜 - B組の鱗くんの無害（依存型）が見てみたいです！できれば中国語も少し入れてくれませんか､､､？ (8月3日 13時) (
レス) @page22 id: 181796d377 (このIDを非表示/違反報告)
ワァ！ - オリジン組の人達の奴(個人の奴も)が見てみたいデス！ (2021年4月28日 6時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
闇空 - (笑うところ)ってところで本当にわらったらマイパピーからメッチャ心配されましたwwww (2020年4月1日 19時) (レス) id: b30251e94a (このIDを非表示/違反報告)
黄(コウ)(プロフ) - ねじれさんがあることに感動してしまって涙が出てきました。ねじれさんの作品だとかとっても少ないし、こうして短編集でねじれさんが出てくることがあんまりないきがして…。最高でした！ (2019年12月30日 13時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - リクエストでオバホールで調教見てみたいです本当にできたらでいいんでお願いします (2019年5月10日 19時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年9月19日 16時
