上鳴 電気 ページ3
．
机の上に置いておいたスマホが震える。
次いで、チャットアプリの通知音が響く。
「…だれ？」
手にとって確認しようとした時、そんな声と共に後ろから手が伸びる。
静かな息遣いが、左耳から聞こえた。
濡れた黄色い髪の先から、私の左肩へと透明な雫が落ちた。
「これ、男だよね？」
「クラスの委員会で一緒の子だよ」
「ふーん、それだけで普通飯誘うか？」
後ろから腕を回し、抱きしめるような体勢で私にも見えるように携帯をいじる彼。
お風呂上がりの熱気が伝わって、じわりと体が熱くなる。
「…電気も女の子ご飯に誘うでしょ」
「あれは社交辞令っしょ」
コイツ気に入らないな、と巧みな操作によって連絡先が消される。
コレも、コレもダメと次々と無くなっていく連絡先を眺めた。
「ん、コレでいいや」
はい、と手渡された携帯に残っていた唯一の連絡先は電気のものだけ。
「ねえ、電気」
「ん？」
「その、女の子の連絡先だけでも…残しとくのダメかな？」
座っていたソファに正座するように振り返る。
そうすれば、予想以上に近くに彼がいたことに驚く。
「…なんで？」
ツツ…と、指先が首筋を撫でる。
ゴクリ、と唾を飲み込んだ。
目の前の電気の表情がなくなったからだ。
「く、ラスで…孤立、しちゃってて…」
「いいじゃん。Aには俺だけで充分だろ？」
「でも、」
「ん？」
パチ、と微かに弾けるような音がした。
ザッと血の気が引いて、反射的に身体が縮こまる。
「…Aに、俺以外に何か必要なものって、ある？」
パチ、パチと弾ける彼の右手がゆっくりと喉元に近づけられる。
それを見て、ゆるゆると首を振る。
じわ、と視界が滲むのを感じながら乾いた声を捻り出した。
「…な、ぃ…！電気以外、ぃらない…！」
「はは、わかってるじゃん」
「…ご、めんなさい…！」
パチ、と耳元で弾ける音にびくりと肩が跳ねる。
けれど、予想していた痛みではない柔い感触が首に吸い付くのを感じる。
「謝んなくていいぜ、A」
「、ん、っ…」
「ちゃんと、わかってんだから」
何度か首に吸い付いてから離れた彼の表情は、もういつもの明るいものに戻っていた。
内心安堵のため息を吐いた時、頭を優しく撫でられる。
「ちゃんと、イイコにしてくれよ。じゃないと……な？」
言葉と共にパチッと弾ける電気の指先に、私は何度も頷いた。
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零桜 - B組の鱗くんの無害（依存型）が見てみたいです！できれば中国語も少し入れてくれませんか､､､？ (8月3日 13時) (
レス) @page22 id: 181796d377 (このIDを非表示/違反報告)
ワァ！ - オリジン組の人達の奴(個人の奴も)が見てみたいデス！ (2021年4月28日 6時) (レス) id: 2c479952a6 (このIDを非表示/違反報告)
闇空 - (笑うところ)ってところで本当にわらったらマイパピーからメッチャ心配されましたwwww (2020年4月1日 19時) (レス) id: b30251e94a (このIDを非表示/違反報告)
黄(コウ)(プロフ) - ねじれさんがあることに感動してしまって涙が出てきました。ねじれさんの作品だとかとっても少ないし、こうして短編集でねじれさんが出てくることがあんまりないきがして…。最高でした！ (2019年12月30日 13時) (レス) id: 535205595b (このIDを非表示/違反報告)
BT21 - リクエストでオバホールで調教見てみたいです本当にできたらでいいんでお願いします (2019年5月10日 19時) (レス) id: e3d4fbe2de (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年9月19日 16時
