82 ページ32
．
「なあ、ヒーロー？」
煽り調子でそう言ったヴィランの姿が崩れる。
生徒が大事かと、守りきれるといいなと。
彼を造形していたものは、土のようになってやがて溶けて地面に消えた。
「…中入っとけ、すぐ戻る。Aもな」
「先生！ですが、洸汰くんは、」
「飯田。Aを連れていけ」
反論を許さぬように、相澤先生は私を一瞥する。
飯田くんは、彼の言葉を忠実に守り私の腕を掴む。
「待ってください！先生！」
「何度言わせるつもりだ。いけ、飯田」
「Aくん、先生もこう言っているんだ行こう」
吐き捨てるように言って森の中に消える相澤先生。
それを追おうと一歩踏み出すが、飯田くんと峰田くんの手がそれを阻む。
「離して、洸汰くんを探しに行かないと、」
「待つんだ、勝手に行動をしてはいけない！」
「お、おい、A、ここは先生に任せとこうぜ、な？」
「でも、私が、」
あの時、あの背中を追っていれば…！
どうしよう、と後悔が胸中を占める。
無理やり個性を使って振り払おうかと思った時、乾いた音が響く。
同時に視界がブレて、次いでじんわりと左頬が熱くなる。
「一回落ち着こう、Aさん。ここで揉めてもしょうがないし、行くとしたら先生の許可を取って何人かで言った方が確実だ」
「お、じろ…くん」
「誰も洸汰くんを助けないなんて言ってない。もっと確実に救える方法を一緒に考えよう」
真っ直ぐと見つめられ、我に帰った。
狭くなっていた思考が、正常に戻りつつある。
「…ごめん、冷静じゃなかった。飯田くんも、峰田くんも…止めてくれてありがとう」
「…ああ。さあ、行こう」
「口田くんも、心配かけてごめんね」
オロオロとこちらを見ていた口田くんにも謝って踵を返した。
施設の中を先ほどきた道順で戻る。
「ブラドキング先生！A組4人、」
戻りました、と言おうとしたが頭に流れ込む声がそれを遮る。
マンダレイさんのテレパスだ。
その内容は、個性使用の戦闘許可…そして、敵の狙いが爆豪 勝己であること。
「…爆豪くんが、狙い？どうして…」
爆豪くんが狙いと聞いて、クラス皆がブラドキング先生に戦線に出たいと申し出る。
しかし、その提案は切り捨てられた。
この様子では、洸汰くんを探しに行くことは許されなそうだ。
そもそも、狙いは爆豪くんだけに限られるわけではない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヒヨコ(プロフ) - こんにちは、とても大好きです。← ただ１つだけ。84の戦闘シーン、exchangeではなくreplaceの場所がないでしょうか？replaceが置き換えだと認識してるので、ちょっと違うかも？となりました！更新楽しみにしてます！ (2018年10月1日 15時) (
レス) id: 1a5754497d (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる。 - No,2ヒーローがベストジーニストになってませんか？気のせいならすみません。 (2018年9月17日 16時) (レス) id: b076da837c (このIDを非表示/違反報告)
碧 - うわあああ好きです！！夢主ちゃん頑張れー！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 1914631717 (このIDを非表示/違反報告)
たまごぼーろ。(プロフ) - いけいけ夢主ちゃん！姫をぶん殴れ！！ (2018年9月7日 10時) (レス) id: acb2629ba7 (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる。 - いけいけかっちゃん！夢主をおとせ！← (2018年8月23日 22時) (レス) id: b076da837c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年7月11日 21時
