どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ9
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「…はぁ」
「お疲れですね、安室さん」
「全くです…もうなんで本当僕の周りには勝手な人間しか居ないのやら…」
白ワインの入ったグラスを回す安室さんの顔には疲労が滲んでいた。
そんな彼に、小皿にチョコレートを盛って出す。
「王道ですが、疲れた時には甘いものですよ。白ワインとも良く合いますしね」
「…優しさが辛い」
グッとなにかを堪えるように目元を覆った彼に苦笑する。
彼自身も疲れているからと甘めの酒を頼む事が増えていた。
…最近、緋色さんは顔を出さなくなっちゃったしな。
サシで飲んだあの日から、彼は一人で店に来る事がなくなった。
それが気まずいという感情からなのか、他のことを感じ取ったからなのか私には判断がつかないが悪いことをしたとは思う。
それでも、安室さんや諸星さんと一緒には顔を出すのだから男心はよくわからない。
「ほー、Aの優しさ、か」
「何か文句でもありますか、諸星さん？」
「…というか気配を消して現れないで下さいよ、全く貴方って人は」
いつのまにか、ギターケースを背負って安室さんの後ろに立っていた諸星さん。
安室さんの優しさ、という言葉に反応してこちらを見て来るのでにっこりと笑って首を傾げた。
そうすれば、しょうがないとでも言うように肩を竦められてイラッとする。
「緋色は来ないんですか？」
「さっきまで一緒だったが、仕事と言って逃げて行った」
「仕事と言っているのに逃げたとわかるんですね。所で何か飲まれます？」
「ああ。いつものを」
比較的なんでも嗜む安室さんとは違い、諸星さんはスコッチのストレートを好んで飲む。
彼らの間は、まるで緋色さんがいるかのように一つ開けられている。
「どうぞ」
スコッチの入ったグラスを差し出して、他の客の注文を受け黙々と働く。
常連の方とはよく話をするが、それ以外だと全くもって話さなくなる。
まあ、このバーの傾向であるからだが。
ボソボソとカウンターに座る彼らが会話をしているのが耳に入る。
内容まではわからないが、そこまで穏やかな雰囲気でないことくらいはわかる。
…前から、本当に二人は馬が合わなかったからな。
これが生理的に、と言うものなのだろうかと当時は疑問に思ったものだ。
結局、安室さんが先に飲み終わって出て行く。
それから数刻して諸星さんも、出ていったのだった。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
