どこかの世界線で、何かが始まる前の話。�� ページ5
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あれからスコッチとバーボンは、この店『Distress』の常連客となった。
店を始めて一年、彼等は名を『安室 透』と『緋色 光』と名乗った。
そして、最近ではもう一人『諸星 大』という男…つまりライが加わる。
私の知る『あの日』に徐々に近づいているのだと、思った。
彼等は互いをコードネームで呼ぶのをやめ、偽りの名で呼び交わした。
きっと、私に疑問を持たせないための行動だろう。
三人は仕事仲間なのだと表向きは聞いている。
彼等はさまざまな組み合わせで現れた。
三人の時もあれば、二人の時も…稀に静かに一人で飲みに来たりもした。
一年も経てば、このバーも彼等以外にも贔屓にしてくれる人も出てくる。
静かで落ち着いた雰囲気のバーであるから、タチの悪いのは滅多に来なかった。
「Aちゃん、今日も来ちゃった」
「緋色さん。こんばんは」
「こんばんは。今日はアイツらも後から来るから」
彼等の特等席、というかいつも決まって座るのはカウンターの一番端。
夜景の見える窓沿いの席の方が人気はあるのだが、彼等はカウンターにしか座らない。
「さみぃな、最近。あ、熱燗ってあったっけ？」
「…私用のでよろしければお出ししますよ」
「えっ、マジ？Aちゃんがいいんならぜひ！」
私もいろんなお酒を嗜むため、バーには置いていない日本酒や焼酎がバックヤードにある。
バーには洋酒が似合うので、基本カクテルに使う物以外は置いていないが常連に言われれば出さざるを得ないだろう。
徳利に日本酒を移し入れて、お猪口と一緒にお湯で温める。
「おっ、これ大吟醸酒？」
「はい。生春巻でもご一緒にいかがです？」
「いいねぇ、この商売上手っ！」
「…もう酔っていらっしゃいます？」
一口で顔を火照らせた緋色さんにため息を吐いた時、来店のベルが鳴る。
いらっしゃいませ、と声をかけた先にはなにやら険悪そうな雰囲気を醸し出す二人。
安室さんと諸星さんだ。
髪の長いライ…諸星さんには違和感があってしょうがない。
そして皆、言わずもがなであるが若い。
「スコッチをストレート」
「…僕は、バーボンをロックで」
示し合わせたように緋色さんを中心にして座る彼等に、了承の意を告げた。
そして、つまみの生春巻を緋色さんの前に出して、グラスに酒を注いだ。
「あ、光。貴方日本酒ですかそれ！」
「へへっ、いーだろ。Aちゃんが特別だってさ」
「ほぉー、特別…か」
…賑やかだな。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
