どこかの世界線で、全てが終わった後の告白。�� ページ27
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「お前は…不器用な奴だな」
涙を拭わぬまま彼が浮かべたのは、疲れ切ったような…でも柔らかい笑みだった。
澄んだ青い瞳が暖かくて、少し気まずいような思いが込み上げる。
「欲しい言葉こそくれないが、俺が潰れる寸前の状態で止めようとしてくれている」
「…潰れないのは零の持ち前の強さだよ」
「それでも、俺はお前に話を聞いてもらっているだけで救われるんだ」
お猪口をグッと煽って、彼は眉を下げた。
そして、とても苦しそうに笑っていう。
「なあ、頼むよ。俺を救ってくれ」
机の上に置いていた手が、褐色のそれに包まれる。
祈るように私の手を額につける彼の目尻は、赤くなっていた。
硬く眼を瞑り、眉を懇願するように寄せた姿に、一つため息を吐いた。
…バカだなぁ、君たちは。
世界の救世主が、犯罪者なんかに縋ってどうするの。
「…勝手にすればいいよ。別に今までと何も変わらないでしょ」
「A、」
「だから、救ってくれなんて言わないで。私は零を救える立ち位置にいないから」
未だ涙が滲む目尻を、握られていない方の手の指で優しく拭う。
それをくすぐったそうに受け入れた彼は、くしゃりと笑って頷いた。
「翠川さんは、」
「唯と、呼んでやってくれ」
零は私の声を遮って、そう言った。
だが私の立ち位置は彼からしたら敵で。
勝手に呼ぶわけにはいかないと思っていた。
「俺と、赤井は名前で呼ばれているのにアイツだけ呼ばれないのも不公平だろ。アイツならきっと拗ねるぞ」
「…唯、はきっと誰のことも憎んでない」
「…ああ。俺もそう思うよ」
「唯は、ライのこともバーボンのことも大切に思っていたよ、そういうのがわからない私でもそう思えるほどに」
私が思い出せる彼の姿は、彼らが三人でいるところだけで。
あんなに暗くて血生臭い場所にいたのに、彼らはなぜか私とは違う人種だと直感で感じていた。
彼らが部下になって、彼らが楽しそうに笑うたびに自分との間に壁を感じた。
その直感は今から思うと正しいものだった。
彼ら三人が笑い合う場所はあんな所ではなくて、青い空の下だったのだと今ならわかる。
「翠川は、Aのことも大事に思っていたよ」
「…どうだろうね」
懐かしさに眼を細めて、酒を流し入れていく。
これが故人を偲ぶということだろうかなどと、私には到底似合わないことを考えた。
この世界線で、どこかの世界線の彼らを想う話。�、�←どこかの世界線で、全てが終わった後の告白。��
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
