この世界線で、全てが終わった後の話。�� ページ18
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「だからなんでお前はそうなんだ…っ」
今、目の前にはポロポロと涙を零すバーボン…じゃなくて降谷さん。
そんな彼に私はタオルを手渡すが、手を払われてしまう。
「自分の必要性を理解していない奴の差し出すもんなんか受け取れるかっ！」
「…わかったから泣かないでよ、明日も仕事なんでしょう？」
「知るかっ、休みだ休み！」
グッと日本酒を煽る彼は、ギッと私を睨みつけた。
その瞳からは未だ絶えず涙が滲んでいた。
私はその姿に『前の』降谷さんを思い出してしまう。
「私のためになんか泣かないで、なんで私がスコッチ…じゃなくて翠川さんを助けたかわからないじゃん」
「〜っだから！それだ、その私『なんか』っていうのをやめろって言ってるんだよ！」
「…なんか、なんだよ。確かに私はこの世界では何もしていない。でも、『前の』世界では散々人を殺してきた」
だからしょうがないことだと笑えば、彼は泣きながら笑みを浮かべる。
そして、褐色の両手を私の目の前に差し出した。
「…お前が人を殺したから、自分を卑下しているというなら。お前の手が汚れているから、俺たちの手を取れないというのなら。俺もそうだ、この手も赤く染まってる、」
「違うよ、この手は決して汚れてなんかない。この国を、人々を救った手なんだから」
とても暖かい手だと言って、両手を握る。
そうすれば、彼はまた音もなく涙を零してしまう。
それを拭おうと手を浮かせれば、ぎゅっと握り直されてしまう。
「…それをいうなら、お前だってこの手で翠川を救っただろう？なんでそんな頑なに、自分を苦しめるんだ」
「…大勢の中の、たったひとりだ」
「翠川は、俺の中のたったひとりしかいない存在だよ」
両手とも、指を深く絡ませて握られる。
指の先にまで、彼の熱が伝わってなんだかそわそわしてしまう。
目元を泣きすぎで赤く腫らせた彼は、柔らかく笑う。
「Aだって、俺の中のたったひとりしかいない存在だ。お前の代わりは、どこにもいないんだ」
だからもっと自分を大切にしてくれよ、と降谷さんは祈るように言う。
心臓が、ズキンと痛む。
じわじわと、胸が温かくなるコレはなんだろう。
「…そんなに、優しいこと、いわないでよ」
苦しくて、視界が歪みそうになる。
『一度目』のとき、コナンくんに怒鳴られた時と一緒だ。
私は生きてていいのだと…勘違いしてしまう。
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さち - おもしろいです。続きが早く読みたいです。よろしくお願いします。 (2019年5月22日 0時) (
レス) id: 43b8d3401a (このIDを非表示/違反報告)
Blanche*(プロフ) - 思わず泣いてしまった....... 続きが気になります!! 無理のない範囲で頑張って下さい!!!!!! 応援しております!!!!!! (2019年5月21日 22時) (レス) id: 5327bf9003 (このIDを非表示/違反報告)
ナシ(プロフ) - コメント失礼します！おもしろいし、感動して何度も泣いてしまいました。続き気になります！更新頑張ってください！！ (2019年5月21日 18時) (レス) id: 9c83a487c9 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - めっちゃ面白いです！！ほんとに！！更新楽しみにしてます！ (2019年4月4日 14時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 大好きで何回も何回も読み直してます！！更新待ってます！！ (2018年9月27日 7時) (レス) id: cb719f86c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：甘夏蜜柑
| 作成日時：2018年3月24日 0時
